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Bite Bite Bite! Vol.1
憧れのボーンフィッシュを追いかけて

魚棲むところに釣り人あり。ファウスト・フィッシングチームは今日も獲物を求めて西、東。

「フライフィッシングの魅力は、釣りそのものが持つゲーム性とフライ自体を作るというアート性を兼ね備えた、非常に奥が深い釣りであるということですね」
ファウスト・フィッシングチ-ムの井上雅史は、そう言う。





フライフィッシングは、簡単に言うと餌は使わず、虫や小魚を模した鳥の羽や動物の毛で出来ている「毛針」(フライ)で魚を釣る、釣りのことである。通常の釣りで使うよりも太く、重いラインをロッドでムチのように扱う。そのしなるパワ-を利用して、20~30ヤ-ドを越えるポイントにフライを届けるという非常に繊細で、技術が必要とされる釣りだ。フライフィッシングは、主にトラウト系(ニジマス、岩魚、スティ-ルヘッド等々)やサ-モン系(サケ、キングサ-モン等々)が対象魚として有名だが、アメリカを中心としたフライフィッシャ-に人気であるのが、ボ-ンフィッシュである。ボ-ンフィッシュは、ソトイワシ科の魚で、白く透き通った美しい魚体を持つ。一気にバッキング200ヤ-ドを引き出すとパワ-は圧巻で、フライフィシングの最高のタ-ゲットになっている。今回、井上は、そのボ-ンフィッシュのフライフィッシングに挑戦することになったのである。
「ボ-ンフィッシュへの憧れは10代の頃からあったし、面白いという話は、海外に釣りに行く仲間から聞いていたんです。でも、ボ-ンフィッシュのいる場所がクリスマス島やバハマとか遠いところばかりで、気楽には行けなかった。ところが2年前にハワイでもボ-ンフィッシュが釣れるよって聞いたんです。で、昨年、オアフでやっと初挑戦することが出来たんです。10代の時の夢が実現すると思うと、すごく興奮しましたね」 不動産の開発事業などを手懸ける井上は多忙ゆえ、わずか4日間しか時間がなかった。出発2週間前にハワイのガイドに連絡を取り、タックル(道具)を用意した。

ボーンフィッシュ・フライの
厳しい洗礼

ハワイ・オアフ島---。
1日目、朝7時、ハワイ海で念願のボ-ンフライフィッシングがスタ-トした。青い海面は、南の強い日差しが反射し、光り輝く。その中を魚影がうごめいている。ガイドの「30フィート。1時の方向」という声に反応し、ボ-ンの進む方向、距離を考えてキャストする。
「ボ-ンフィッシュは、意外と敏感な魚なんですよ。魚の近くにフライを落とすとボーン用のフライは重いので、ポチャンと着水音で逃げてしまうことが多いんです。だから、魚が来る方向を読み、正確にフライを落とさないとけない。いかにフライを狙った場所に落として、フライを本物のエビのように演出して喰わせるか。それが、この釣りの生命線ですね。単純と言えば単純ですが、それが難しくもあり、楽しさでもあるんです」
しかし、ハワイの海は、初日から入れ喰いさせてくれるほど甘くはなかった。ハワイは、天候が変わりやすく、コナウインドが吹いて海面を揺らす。そのため、フライを正確にキャストするのが非常に難しいのだ。加えて、まだボ-ンフィッシュの動きも完全に掴み切れておらず、初めての場所なので、なんとなく探りながらの釣りになってしまった。
「正午過ぎには、風がかなり強くなり、この日は諦めました。釣れなかったけど、念願のボーンも直視する事も出来たし、いろんなことが分かりました。少なくとも簡単じゃないなと。なかなか釣れないけど楽しいっていうのが釣りの醍醐味でもある。だから、気持ちは切れることなかったし、むしろ翌日に向けて気持ちは盛り上がりましたね!」

2日目、ホノルル空港近くの島に向かった。島といっても、その島の周囲には何キロのも浅瀬が続いており、日本では滅多にあり得ないジオグラフィのポイントである。早朝6時にポイントに行くと初日とは異なり、テイリングしているボ-ンフィッシュの姿が見える。テイリングとは、魚が餌を採るために砂の穴などに顔を突っ込み、背びれや尾びれ(テイル)が海面上に出ている状況のことだ。
「海面上に尾ビレを出してるボーンが、何匹も群れをなして泳いでいるのがしっかり見えるんです。これは、心臓ドキドキでかなりテンションが上がりましたね!!!」
ゆっくりボ-ンフィッシュに近付き、進行方向、2~3m先にフライをキャストする。だが、思うようにヒットしない。魚には、まるで糸が見えているようだ。



「最初はなかなかバイト(餌を咬んだ)しないんで、同じ場所で粘って釣ろうとしていたんです。でも、ガイドはボ-ンは喰う時は1発で喰うから、どんどん場所を変えて狙っていかないといけないって教えてくれたんです。だから、それから昼過ぎまで、ポイントを変えながらずっと歩きっぱなしでした。渓流で沢登りしながら釣りをしたことがあるけど、今回の様にずっと下半身が水中で歩き回るのいうのは、後半戦かなりキツかった・・・」
今日も「厳しいかなぁ」と思い始めた時だった。15mぐらい先でクル-ジングし、自分の方に向かって来ている魚の姿を捕らえた。ボ-ンフィッシュの進行方向と風向きを考えて、魚の進行方向2mぐらい先にフライをキャストした。あとは、魚と1対1の駆け引き勝負になる。すると、その直後、今までと違う感触を手に感じた。

「バイト(餌を咬んだ)したな!」 そのままロッドを立て、タイミングを合わせフッキングすると、その直後に強烈な引きを感じ、物凄いパワ-とスピ-ドで走り始める。フライラインが水面を切るシュ-という音とリ-ルの逆回転音が響き、体に心地よい緊張感が宿る。 ボ-ンフィッシングの最高の瞬間だ。

このままじゃ終われない
フィッシングの実感

「イトウはあまり走らないし重いだけなんですけど、ボ-ンはよく走った! ニジマスやサーモンに似て、引きもあるし、スピ-ドもある。そういう意味では、本当にゲ-ム性の高い楽しいフィッシングだと改めて実感しました」
狂ったように暴走したボ-ンフィッシュは、最後には抵抗することなく、寄ってきた。初めて釣ったボ-ンフィッシュは、全長約50センチほど。本当に釣ったと言えるのは、70センチ以上なのだそうだが、問題はサイズではない。どれだけ楽しめたかにある。 「今回は、たいしたサイズが釣れなかったですけど、やはり面白かったですね。でも、これじゃ、終われない。やっぱり、70センチぐらいの大きさを釣らないと釣った気にならないんで、そのレベルを釣り上げるまでは続けていきます。その時は今回のような弾丸ツア-じゃなく、余裕を持って行きます」
ボ-ンフライフィッシュングのデビュ-戦は、少しほろ苦いものになった。しかし、井上のボ-ンフライフィッシングは、まだ最初の1歩を踏み出したばかり。70センチオ-バ-を両手で掲げるまで、これからも挑戦は続いていく---。

 

Profile

井上雅史

1967年生まれ東京都港区出身。91年に中央大学卒業後、大手総合商社の不動産開発企画・マーケティングに従事。95年に英国系香港の外資系企業にて首都圏の商業施設開発及びM&Aに携る。99年に独立し、現在、アンソールホールディングス株式会社の代表取締役を務め、不動産の開発及びコンサルティング業務を行う。趣味は、フライフィッシングの他、日本ポルシェクラブの役員も勤め、ポルシェでサーキット走行も楽しむクラブマンレーサーでもある。

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