命の尊さ、自然の大切さ
かけがえのない海を考える真夏の2日間
東京アクアリオ2010
「死滅回遊魚」をご存じだろうか。
それは夏に、熱帯の海から黒潮に乗って北上し、日本の沿岸に流れ着きながら、秋になっても南に帰ることができない熱帯魚たちのこと。そのまま留まっていれば、日本の冬の寒さに耐えきれず、死にゆく運命にある。その魚たちを、ファウストの一人、アクアリスト木村英智は、親しみを込めて「はぐれ熱帯魚」と表現した。
「はぐれ熱帯魚たちの存在は、何よりも雄弁に海が一つであることを教えてくれます」
と、木村は語る。
その木村が手がけるイベント「東京アクアリオ2010」が、さる7月24日、25日の2日間、六本木ヒルズで開催された。今回で7回目を迎えるこのイベントは、は、昨年に引き続き「One Ocean」をテーマとして、数多くのファウストたちも参加した。
会場となった六本木ヒルズアリーナには、アクアリウムディスプレイコレクションの出展者による美しいアクアリウムがずらりと並び、涼しさを演出。新江の島水族館ブースでは子どもにヒトデなど海の生き物とのふれあいを提供したり、下呂温泉ブースでは、はるばる岐阜から温泉を運んでヒノキの足湯が設られたりと、数多くの来場者が癒され、憩う。また恒例となった「海メシ カフェ」では、下関唐戸市場から直送のトラフグや、マグロなどの新鮮な海の幸を使った海メシに、大勢の人々が舌鼓を打った。金魚すくいやヨーヨー釣りもあり、夏祭りのようなにぎわいに包まれていた。
アリーナ中央にはステージが設けられており、講演やワークショップ、ステージでのパフォーマンスなど、「海の教室」と題して、次々と魅力的なイベントが繰り広げられた。
ファウストたちの競演
ファウストたちも「海の教室」で、ステージ上に上がり、海の面白さや大切さを伝えるさまざまな試みを行った。
その一人、中里尚雄。彼は、24日の3時限目を担当。日本人として初めて、サーフィンにおいて世界ランキング5位に輝いた実績の持ち主。世界中の海で、浜に打ち上げられているゴミを見てきた彼は、その惨憺たる現状を悲しみを込めて語る。
「イルカやクジラ、亀たちが、こうしたゴミを間違って食べてしまい、命を落としている。その現状を知ってほしい」と話し、会場に集まった子供たちをステージ上に招いた。そのゴミを使ってアート作品を作り、海を大切にするメッセージにした。
続いて登場したのは、世界最年少でヨット世界一周を果たしたファウスト、白石康次郎。彼はステージ上に子供たちを集め、ロープの結び方講座を開いた。
「実際の航海では、荒波で船から飛ばされないように、自分の体をロープでくくることもあるんですよ」と、白石は笑う。
ロープは、ステージ上に上がった子供たちだけではなく、会場にも配られた。子供たち以上に、大人たちが熱中してしまう場面も。
二日目の「海の教室」も、晴天に恵まれて大盛況だった。2時限目を担当したファウスト白戸太朗は、日本人として初めて、トライアスロンのワールドカップに出場。世界各国を転戦し、海の魅力を知り尽くしている。
「過酷なものだと思われがちなトライアスロンだけど、実は想像以上に楽で面白い」
と、白戸。海に親しむ上でも、トライアスロンを体感してほしいと、ステージ上に希望者を上げて、トライアスロンで実際に使われる自転車やウェア、シューズなどに触れてもらい、その魅力について語った。
そのほかにも、新江の島水族館によるクイズ大会、フリーダイバーの二木あいによる映像とトークショー、そしてアーティストたちによるライブなど、次々と開催され会場は盛り上がり続けていた。
「はぐれ熱帯魚を救え」
今回のアクアリオにおいて、ファウスト社会貢献チームのリーダー、糸見バーリン黎は、
「次世代を担う子供たちのために何かできないか」と考えていた。糸見は木村と話し合い、縁あって出会えた児童養護施設「窓愛園」の子供たちのために、アクアリウムをプレゼントすることを決めた。ファウストたちが結成するバンド、「Zokkon Boys」「Love Funky」も、このチャリティに賛同。アクアリオの一日目にはライブを開催し、来場者たちから寄付を募った。
そして二日目。「窓愛園」の子供たちがイベントに招かれた。「窓愛園」は、土浦にあり、現在1歳から19歳までの子供たち50人が共に暮らしている。今回は、窓愛園を代表する子供たち12名が登壇した。
プレゼンターの糸見は、
「魚を育てる本格的なアクアリウムを作る体験を通して、一緒にやり遂げる楽しさを感じて欲しい」と子供たちに語りかける。
また、木村も、
「アクアリウムで魚たちと触れ合うことを通して、命の尊さや自然の大切さを知ってほしい」と話し、アクアリウムの目録を贈呈。
引き続き、木村が舞台上で子供たちにアクアリウムの作り方や、熱帯魚の育て方をレクチャー。子供たちは木村の話を熱心に聞きながら互いに協力し、完成した美しいアクアリウムには、満足そうに笑顔を見せた。
このチャリティはここで終わりではない。アクアリウムの世話は子供たちが行うが、今後も維持していくための資金や技術の面で継続的にサポートしていくことことが必要になる。
また、木村と糸見は、秋に子供たちと一緒に、アクアリウムに入れるための「はぐれ熱帯魚」を探しに海へ行く約束を交わした。
辺りが薄暗くなると、アクアリウムの美しい青が更に映え、幻想的な風景が広がる。最後のライブが19時に終わり、二日間、六本木の夏を彩った「東京アクアリオ2010」は静かに幕を下ろした。
海と触れ合うことの大切さと面白さ。そして、世界へ広がる海のために、今、ここからできること。「One Ocean Project」のテーマは、来場した多くの人々に伝わっただろう。
東京アクアリオ2010 ~One Ocean Project~
with グラン・ブルー完全版
公式サイト
http://www.aquario.jp/
日時:7/24(土)と25(日)の両日とも11:00~19:00
場所:六本木ヒルズ・アリーナ(東京都港区六本木6-10-1)、テレビ朝日イベントスペースumu
Text:Sayako Nagai
Photos:Kiyoshi Tsuzuki
2010/08/26
-
5年目を迎えた
冒険家、挑戦者、ファウスト会員が集う宴
ファウストA.G.2...
2014/05/10 -
巨大パペット、デザイン、映像…
レクサスの“AMAZ...
2013/08/13 -
素晴らしき野獣たちがピアノに再挑戦!
サントリーホールで襲いかかる試練の行くえ
2013/03/14 -
いざ、ホノルルトライアスロン挑戦へ決起!!
今年もやります!「ホノトラNIGH...
2013/02/14 -
メンバーと冒険者たちが集い
一年の「冒険・挑戦・貢献」を讃え労う宴
ファウス...
2013/01/24 -
企業経営者たち、名曲のピアノ演奏に挑む!
披露コンサートin サントリーホール...
2012/12/20 -
海と陸でイタリアの至宝を堪能!
リーヴァとフェラーリの優美な共演
2012/11/08 -
毎年恒例!クルマ好きメディアのガチレース
今年のファウストの結果は?
メディ...
2012/11/01 -
コーンズ協賛によるゴルフコンペを3都市で開催
名古屋、東京、大阪の各エリアで盛...
2012/07/05 -
FSWでマセラティオーナーズイベント開催
フェンディ、ブルガリとコラボ披露
...
2012/06/14 -
亀治郎丈が猿之助襲名直前の舞い
日本伝統に酔うオールドパーの宵
第八回 伝承...
2012/05/31 -
震災復興支援に注力した1年
セーブ・ザ・チルドレンの意志に共鳴する晩餐会
S...
2012/05/10 -
悪天候にも負けず、大興奮のレースを展開!
レッドブル・ボックスカートレース20...
2012/04/05 -
代官山でキックオフ!
ホノルルトライアスロン挑戦者が集結
ホノトラNIGHT
2012/03/01 -
オーバー270km/hの異次元体験
Faust Racing Team 201...
2012/02/16 -
名橋「日本橋」架橋100周年を記念して
ジャパン・クラシック・オートモービル開...
2012/02/09 -
ファウストたち1年の「冒険・挑戦・貢献」を
労うチャリティディナー
ファウス...
2012/02/02 -
東京発、京都へ!
文化自然遺産を巡るクラシックカーの旅
Rally Nipp...
2012/01/19 -
王道と遊びのせめぎ合い
パーティのドレスコードという冒険を学ぶ
ファウストラ...
2012/01/12 -
一夜限りのピアニストたち
~アート&カルチャーチーム、サントリーホールへの挑戦...
2011/12/22 -
名橋「日本橋」架橋100周年を記念して
ジャパン・クラシック・オートモービル開...
2011/12/15 -
日本文化の美と叡智を
美しき音色にのせて
第7回 伝承の共演&nb...
2011/11/24 -
台湾まで感謝を伝えるために泳いだ勇者たちを
“サブラージュ&rdq...
2011/11/10 -
フェラーリが誘う、
心ときめく至福の時間
CORNES CURCUIT EX...
2011/11/02 -
オーデマ ピゲのスケルトン フェア開催前夜
ファウストたちが体験した贅沢な時間...
2011/10/13 -
Each Surfing Story Vol.3
いつかは、BIG WEDNE...
2011/10/06 -
クルマ好きメディアの“本気”レースに
ファウストたちが...
2011/09/29 -
金魚たちと彷徨うような幻想空間、
和の風情漂う夢の世界へ
日本橋...
2011/09/08 -
FFの日本第1号車が出品
フェラーリ流・復興支援オークション
Ferrari...
2011/08/18 -
今年のガラはいつもと違う!?
復興支援に湧いたファウストたちの夜
Faust...
2011/07/14 -
秘密めいた洋館の地下で——
繰り広げられた心理ゲームの...
2011/04/28 -
灼熱のマレーシアを激走!
「24時間耐久レース」は終わらない
K4GP-20...
2011/04/28 -
Bite Bite Bite! Vol.1
憧れのボーンフィッシュを追いかけて
2011/03/03 -
「カジノ」という非日常の空気漂う
大人の社交場へようこそ!
韓国・セブンラッ...
2011/03/03 -
ファウストたち一年の冒険・挑戦・貢献を
締めくくるイブニングパーティ
Fau...
2011/01/13 -
モンブラン・プレゼンツ ファウストラウンジ 第6回
〈最新クロノグラフ「二コラ...
2010/12/09 -
第一回Faust A.G.ゴルフコンペ 開催報告
ベスグロなんと64!
参加...
2010/11/18 -
Each Surfing Story Vol.2
ラトビアの世界選手権で知った...
2010/11/11 -
子どもの希望の種を花咲かせるために
国際NGOの理念に共鳴した晩餐会
セーブ...
2010/10/28 -
子供たちのチャレンジ精神を養え!
片山右京と過ごしたカート&キャンプな2日間
2010/10/28 -
プロのドライビングテクニックを体験!
最新Audiで雨のサーキット高速走行
...
2010/09/30 -
命の尊さ、自然の大切さ
かけがえのない海を考える真夏の2日間
東京アクアリオ...
2010/08/26 -
豹変するキャラクター
それがフェラーリの真骨頂!?
フェラーリ458イタリア...
2010/08/19 -
Enthusiasm for Classic Cars
Vol.3
愛車とト...
2010/07/08 -
ルイ・ヴィトンでワールドカップ観戦!
青きサムライの勇姿に激励と感動
2010/07/01 -
クラシックギターの才能と芸者の舞が
老舗料亭「金田中」で交わるとき
2010/06/24 -
夢あるチャリティを呼びかけた
ファウストたちの冒険の宴
Faust A.G....
2010/06/17 -
Diners Club Presents Japan Classic Autom...
2010/06/17 -
Diners Club Presents Japan Classic Autom...
2010/06/10 -
Each Surfing Story
Vol.1
サーフィンが磨き上げる見...
2010/05/20 -
ショパン生誕200周年
麗しき武村八重子のピアノと語りに魅せられて
ファウス...
2010/05/13 -
Enthusiasm for Classic Cars
Vol.2
オールド...
2010/04/01 -
至高の香りに酔いしれた時間
Faust Lounge「男の嗜み、コーヒーを愉し...
2010/03/25 -
Enthusiasm for Classic Cars
Vol.1
ヒストリ...
2010/03/04 -
子どもたちの未来に想いを馳せる夕べ
2010/02/25 -
アワード受賞者を迎えて
一年の冒険を讃えるクラブ懇親ディナー
2010/02/04 -
オールドパーと古典芸能
両者に共通するスピリットとは?
2009/11/12 -
天野喜孝のアートを堪能する
『AmanoGalaxy Night for Fa...
2009/11/05 -
東京アクアリオ2009開催報告
“ワンオーシャン”を世...
2009/10/29 -
紳士ならではの文化ある時間
ファウストの茶会
2009/10/22 -
ファウスト・ゴルフチーム活動報告
ACT4とのコンペ初対決は“油断...
2009/09/10 -
森田恭通流カモフラージュをまとった
ハッピー、ラグジュアリー&“エ...
2009/07/09 -
Faust Gala Party 2009 Report
会員を中心に来場30...
2009/06/11 -
“ゲストのワイン観を豊かなものに”
英国随一の伝統が培...
2009/02/12 -
You Can Trust Over 30
ファウスト、ロックへの挑戦。
&...
2008/12/25 -
美しく年月を重ねた男とクルマが生み出すもの
2008/11/20 -
富士スピードウエイ貸し切り試乗
アウディR8のポテンシャルを感じる
&nbs...
2008/10/30 -
100年を生きたグランヴァンとのわずか2分の邂逅
2008/10/02