HOME > LIFESTYLE > 森田恭通流カモフラージュをまとった ハッピー、ラグジュアリー&“エコ”な椅子

画像

森田恭通流カモフラージュをまとった
ハッピー、ラグジュアリー&“エコ”な椅子

「この地球に少しでも『緑』を還元するために、デザインの力で何かできないか」というコンセプトのもと、hhstyle.com主催によるチャリティー オークション「green auction」がスタートして今年で3回目。1回目は建築家の安藤忠雄氏、妹島和世氏、インテリアデザイナーの片山正通氏、2回目は建築家の石上純也 氏、そして、3回目となる今年は、ファウスト会員でもあるデザイナーの森田恭通氏が起用された。

さる2009年5月27日夕刻、hhstyle.com原宿本店にて、森田氏のデザインが施されたチャールズ&レイ・イームズの名作「ラ・シェーズ」が初 お披露目された。多くの列席者に囲まれ、会場内を忙しく動き回る森田氏に、作品に込めた思い、自身の仕事、社会貢献活動などについて語ってもらった。

「カモフラージュ」に込められた思い

今回の作品のテーマ「camouflage la Chaise」と同じ「camouflage(迷彩)」の服をまとい登場した森田氏。そもそもどういう経緯で、今回のデザインを担当することになったのだろうか。
「自然な流れだったんですよ。hhstyle.comのオーナーの原田さんとお茶をしながら、『次、森田くんやってよ』という感じで(笑)。オークション のことは前から知っていて、他のデザイナーが手がけたのも見ていたし、『海の森募金』にも個人的に募金していました。だから引き受けるのは自然な感じでし たね。ただ、話を受けてから、さあ、どうしたものか、と(笑)」

デザインをするにあたって、最も心がけたことは何なのだろうか。
「今までのオークション作品を見ていると、割としっとりした感じのものが多かったので、元気で、ポップなものにしようと。見て楽しめて、触った感触も楽しめるものにしたい、と思いました」
たしかに完成した作品を見ると、思わず触れたくなってしまう。作品のテーマは「カモフラージュ」。とはいえ、あくまで森田氏らしいカモフラージュだ。
「カモフラージュって目立たなくする、という意味があるでしょう。その中に、『緑と人の共生』というメッセージを込めて、僕らしく艶っぽい感じに仕立てま した。無理にエコっぽくするよりも、こういうラグジュアリーなエコがあってもいいじゃないか。チャリティーというと、地味になりがちだけど、ハッピーで楽 しくて、気に入った人が買ってくれて、そのお金が緑につながればいいじゃないですか」
森田氏の遊び心と「green auction」で掲げられている理念「デザインができること」が合致して、作品からはデザインのパワーが伝わってくる。

そうして森田氏の手を経て生まれ変わった「ラ・シェーズ」は、結局、森田氏自身が一番欲しいものとなったそうだ。

デザインができるエコ、そして社会貢献とは

森田氏がこれまでに手がけられてきたレストランやバーなどの数多のプロジェクトを見ると、どれもがラグジュアリーで、ゴージャス。一見それらからは「エコ」な要素を感じることは難しいかもしれない。森田氏は仕事を通してどのようなときにエコを意識するのだろうか。
「ここ4、5年よく聞かれる話題ですが、僕の場合、モノをつくるのが仕事だから、ある意味エコとは相反しているわけですよね。だから、僕が一番願っている のは、スクラップ&ビルドがないことなんですよ。商業の世界は僕だけの力ではどうにもならないことも多いんだけど……。僕が18歳のときにデザインした バー(神戸・三宮のバー「COOL」)は、阪神大震災も乗り越えて、23年経った今も営業しています。スクラップされずにいつまでも続いていく、そういう ことが僕らにとって一番のエコなことだと思う」
ついエコと聞くと、エネルギー効率のよいマテリアルや機材ばかりをイメージしてしまうが、つくったものが、いつまでも使われ続けていくというのは一番重要 なこと。それはモノづくりの原点に帰ることや、強烈な創造性に繋がる。めくるめくスピードで、流行という時代が移り変わっていく現代において、これは容易 なことではない。それは、いつまでも古びず、いつまでも愛されるものを作る、不朽の名作を生み出すということなのだから。

最後に、森田氏が考える社会貢献活動とはなんだろうか?
「どこまでできるかわからないけど、デザインを通じて社会貢献をしていければと思っています。まだ、具体的な話はないけれど、たとえば、カッコイイ学校を つくってみたいとか、そういう気持ちはありますね。世界中のデザインの古本などを集めてライブラリーに入れて……。デザインを身近に感じることで、子ども たちの未来の選択肢が大きく広がれば嬉しいですよね」

森田恭通氏のデザインを“大人たちの世界”だけに独占させておくのはもったいない、と強く感じる夜だった。

Data

green auction

hhstyle.comが主催するチャリティーオークション。「地球の大切な資源でもある『緑』を、この地球に少しでも還元するために、デザインの力で何 かできないか」というコンセプトのもと、2007年にスタート。企画の趣旨に賛同したデザイナーに、チャールズ&レイ・イームズの椅子「ラ・シェーズ」を 題材にした作品の製作を依頼。そのたったひとつの作品は、hhstyle.comのオンラインショップでオークションにかけられ、チャリティーの収益は東 京都の緑化計画「海の森募金」へ寄付される。

http://auction.hhstyle.com/

期間:2009年7月16日(木)~2009年7月26日(日)
展示場所
2009年5月28日(木)~2009年6月30日(火)@原宿本店
2009年7月1日(水)~2009年7月26日(日)@青山店

海の森募金

東京湾に浮かぶゴミと残土でできた埋立地に苗木を植え、緑豊かな森に生まれ変わらせるプロジェクト。建築家の安藤忠雄氏が事業委員長を務める。

http://www.uminomori.metro.tokyo.jp/

 

Profile

画像

森田恭通

もりた・やすみち/GLAMOROUS co. ltd主宰。1967年大阪府生まれ。フリーランスで活動した後、株式会社イマジンにてチーフデザイナーを努める。1996年、森田恭通デザインオフィス を設立。2000年6月、GLAMOROUS co.ltd.としてスタートを切る。インテリア、グラフィック、プロダクトと、幅広いジャンルのデザインを手がけている。現在、日本だけでなく、ニュー ヨーク、ロンドン、上海など8カ国14都市でプロジェクトが進行中。

http://www.glamorous.co.jp/

Back Number

Page Top


  • Mail News
  • 画像クリックでイメージムービーがSTART

  • 冒険のクロニクル  Presented by BREITLING
  • Award Archive
  • ファウスト魂