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Small Talk

2009 October

2009年10月29日

Biology

海の宝石「ウミウシ」を追った、異色ドキュメンタリーDVD登場

「何だコレは?」

と言わずにはいられない。独特の色彩とフォルムを持つユニークな生き物、ウミウシ。海の宝石ともたとえられるこのウミウシは、巻き貝の仲間で、貝殻が体内に埋没、または消失していると言われている。その生体は未だ謎に包まれていて、中には毒を持っているものも。そのため、人工的に飼育することは難しいという。

 そんな神秘の生き物、ウミウシに魅せられた写真家がいる。

今本淳。彼はそれまでにも、ダイビングをしながらクマノミやチョウチョウオなどの魚を撮り続けていた。しかし、

「『ウミウシガイドブック』の発刊をきっかけに、ウミウシの美しさ、かわいらしさ、多様さに魅せられて急激にウミウシの世界にはまっていきました」という。
遂には奄美大島に移住。ウミウシ三昧の日々を送っているのだ。

 そんな彼が撮り続けたウミウシ37種を、動画で見ることができるDVD『ウミウシ 海の宝石』が7月に発売された。ここで紹介されているウミウシの大きさはわずか1~2センチ。これを大海の中で見つけ出す今本淳の熱意にもまた感動を覚える。

 穏やかな音楽と共に映し出される青い海。その中で、神様のいたずらとも思えるような、鮮やかな色彩を放つ、美しい謎の生き物「ウミウシ」。このDVDを見ていると、海の神秘さを垣間見ているようだ。美しい地球上にはまだまだ、我々の知らない奥深い世界が広がっている。

Data

 

『ウミウシ 海の宝石』
ウミウシ撮影:今本淳
アートディレクション:菊池敦己
音楽:小瀬村晶
発売:テレコムスタッフ
販売:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
価格:¥3,360

今本淳氏ウェブサイト
http://www.umiushi.info

Text: Sayako Nagai

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2009年10月29日

Scoop!

18億円相当のダイヤ原石見つかる!

 ダイヤモンドは、世界中の人々が憧れる最高級の宝石。その名前は、ギリシア語の「adamas」に由来すると言われる。意味は、「征服できないもの」。

 そのダイヤモンドの大原石が、9月末に南アフリカの鉱山で発見された。それは、鶏の卵ほどの大きさがあり、507.55カラットで、重さは100グラム強。市場価格にして、およそ18億円あまりの価値があるとされている。

 アフリカでダイヤを採掘するぺトラ・ダイヤモンド社によると、南アフリカ共和国、首都プレトリアの北東にある同社所有のカリナン鉱山でそれは見つかったのだという。不純物が極めて少ない「タイプⅡ」という種類。このダイヤ鉱石が見つかった近くでは今回、168カラット、58.5カラット、53.3カラットのダイヤ原石も見つかったという。

 かつてこの鉱山では、1905年に世界最大の3016カラットのダイヤ原石が見つかっている。そのダイヤ原石は鉱山の名にちなんで、「カリナン」と名付けられ、当時のイギリス国王エドワード7世に贈られた。

 今回のダイヤは、その「カリナン」ほどではないにせよ、史上稀にみる大きさであることに違いない。今後どのような宝石となって、どこに納められることになるのか。行方が気になるところである。

 「征服できないもの」という名を持つダイヤモンド。「征服できないもの」は、その性質が故に「征服の対象」となる宿命を負う。何故、ダイヤモンドは人々をこんなにまで惹き付けるのか?宝とは何か?ファウスト諸兄はどう思われるだろうか。

Text: Sayako Nagai

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2009年10月22日

Scoop!

アポロ11号の「月の石」は、木の化石だった!

 オランダのアムステルダム国立美術館に収蔵されている「月の石」が、実は単なる木の化石であることが判明した。この石は、1969年10月、当時の駐オランダ米大使のJ.ウイリアム・ミッデンドーフ氏(現在85歳)からウィレム・ドレース元オランダ首相に個人的に贈られたもので、元首相の死後はアムステルダム国立美術館の所蔵品となった。石はマッチ箱ほどの大きさで、「アポロ11号の宇宙飛行士らのオランダ訪問を記念し米国大使より謹呈」といった文言が記されたプレートも付いている。

 しかし、アポロ11号が帰還したのは1969年7月。そのたった数ヶ月後に月の石が贈られるとは考え難いという専門家らの指摘により、このたび調査が行われた。その結果、50ユーロ(約6,700円)以下の価値しかない樹木の化石であることが判明したのだ。

 ミッデンドーフ氏は、オランダのニュース番組の取材に対して「今でも良く覚えているが、月の石をドレース氏に贈ったとき、彼はその小石に大変興味を持ったようだった」「本物ではなかったが、自分でも詳しい経緯はわからない」と述べている。いったいなぜニセモノが贈られることになったのかという経緯には結局触れられておらず、真相は謎のまま……。

 ちなみに、東京の国立科学博物館にも2種類の「月の石」が展示されている。ひとつはアポロ11号の着陸点で採集されたもので、直径22mmのプラスチック片の中に、4個の石が埋め込まれた状態で展示されている。もうひとつは、アポロ17号着陸点で採集されたもので、直径50mmほどのプラスチック片に埋め込んである。ただ、双方とも採集番号などが付いていないため、どのような性質のものかは不明だとか。

 「月の石」ではないことが判明したアムステルダム国立美術館の化石は、今後「ドレース氏の月の石」として同美術館に引き続き所蔵されていくという。となると、東京・国立科学博物館の「月の石」がとても気になるが……。

Text: Miyuki Murata (YUBUNSHA)

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2009年10月15日

Event

動物写真家・前川貴行が写真展を開催。
環境問題解決へのヒントを握るのは、ハクトウワシ!?

 この地球の環境は、刻一刻と変化を続けている。それは、自然のサイクルだけによるものではなく、人為的な影響も大きな問題だ。そして、その人為的な変化によって、絶滅を叫ばれている動物たちも多い。
そうした動物たちを追いかけ続ける動物写真家がいる。
前川貴行だ。
彼はクマに魅せられて、アラスカやカナダを旅行しながら、動物たちの営みを見つめてきた。そうした活動の中で、いつしか大きな翼と白く輝く頭、鋭い瞳を持ったハクトウワシに魅せられるようになったのだという。「その風貌に強固な意志を秘めたようなこの鳥を、本格的に追いかけてみようと思うようになった」と前川氏は言う。
かつてハクトウワシは、家畜を襲う害獣として、長年に渡って乱獲されてきた。また、農薬汚染による影響でヒナがかえらなくなるなど、その絶滅への足取りは人間によって刻まれてきた。しかし現在では、保護法の制定と農薬の規制などに取り組むことで、徐々に個体の数を増やし、今度は再び人間の努力によって、絶滅危惧種の指定が解除されるまでになった。
「このハクトウワシをめぐる問題は、環境問題に対する考え方のモデルケースとなりえる好例。これらの発想を世界規模に広げていくことが、絶滅へと向かう動植物を一つでも救う手段になりえるのではないかと思う」と、前川氏は語る。
彼はこうした経験を通じて、同じく地球の現在の姿、環境の中で生きる動植物を写し続けている六人の写真家たちと共に、環境を守るための「EYE WITNESS 目撃者たち」というプロジェクトで、自然本来の姿を次世代に伝えることに取り組んでいる。
そんな前川氏の写真展が品川のキヤノンSタワーで開催されている。前川のファインダーを見つめ返すハクトウワシの高貴なまなざしに、生命の力強さと美しさを感じてみてはいかがだろう。

Data

■前川貴行写真展「Arctic 極北・生命の彩り」

日程:~2009年10月29日まで開催中
開館時間:10時~17時30分
休館日:日曜・祝日
会場:キヤノンSタワー1階 キヤノンギャラリーS
入場料:無料
http://cweb.canon.jp/s-tower/floor/1f/gallery/arctic/ (写真展HP)
http://www.earthfinder.jp/ (前川氏HP)

Text: Sayako Nagai
 

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2009年10月15日

Environment

予想より6年も早く、世界一高いスキー場が消滅!

 世界で最も高所にあるスキー場が、地球温暖化の影響で消えてしまった。場所は南米ボリビア、標高5260mのチャカルタヤ氷河。長さ1kmほどのゲレンデと、簡易リフトがあるだけの小さなスキー場だった。高所ゆえに酸欠状態になりやすく、挑戦するスキーヤーにもある程度のスキルが必要。でもだからこそ、世界中のスキーヤーがこの小さなスキー場を訪れて冒険を楽しみ、ここで滑ったことを誇りに思っていた。

 スキー場消滅の原因は、氷河そのものが溶けてしまったことにある。一帯の氷河が年々失われていることは、以前から問題になっていた。しかし科学者たちの考えは少し楽観的に過ぎたようだ。彼らは2015年の解氷を予想したが、実に6年も早く消失してしまったことになる。一体、何が起きたのか。

 理由はいたってシンプルだった。一度溶けだした氷河は加速度的に融解が進む傾向にあることが、近年の研究でわかってきたのだ。ちょうどロックグラスの氷のようなものである。いったん始まってしまった環境の変化は、そう簡単に止められない……。そんな厳しい現実を、チャカルタヤ氷河の消滅は暗示しているのだ。

 ここ日本でも、地球温暖化の影響によって降雪量が減り、休業を余議なくされるスキー場が増えている。危機感を抱いたスキー場や業界団体は、温室効果ガスの排出を減らす「チームマイナス6%」に登録するなど、地球温暖化防止対策に取り組む姿勢を見せ始めた。“エコスキー場”を目指して活動をしてきた白馬のスキー場が「信州エコグランプリ2008」で最優秀賞を受賞したのも、そんな成果のひとつ。自然と冒険を愛するファウストたちよ、いまこそあなた自身の力が求められている。

Text:Sachiko Kajino(OUTSIDERS Inc.)

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2009年10月 8日

Event

40年の時を経て実現した 建築家集団の理想郷!

「コープ・ヒンメルブラウ:回帰する未来」展
手前は、脳のニューロン・ネットワークと都市の生成発展における類似性を扱うリサーチの最新成果を、インスタレーションとして展開する《ブレイン・シティ・ラボ》。奥は、1969年に実験された《ハート・スペース——アストロバルーン》をもとに2008年に実現された《アストロバルーン 1969 リヴィジ テッド―フィードバック・スペース》。
NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] 2009 (c) マルクス・ピルホファー

 オーストリアを拠点に世界的に活躍するハイパー・アヴァンギャルド建築家集団、コープ・ヒンメルブラウ。彼らの日本初となる大規模な個展『コープ・ヒンメルブラウ:回帰する未来』が、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]にて開催だ。
コープ・ヒンメルブラウは1968年にヴォルフ・D・プリックス、ヘルムート・シュヴィツィンスキー、マイケル・ホルツァーによって設立された建築設計事務所で、無機質な“箱モノ”としての建築ではなく、ユートピア的ヴィジョンを取り入れた実験建築プロジェクトを次々に発表し注目を集めた。60年代といえば、学生運動に象徴されるように、世界中で既存の価値観が問い直された時代。問題意識に敏感で、世の中を変えたいという行動力に満ち溢れた若者たちが、競うようにコープ・ヒンメルブラウを支持したというのも頷ける。果たしていまの若い世代は、これだけ先鋭的なアートを受け入れることができるだろうか……と、思わず考えさせられてしまう。
建築技術が目覚ましく発展した現代、実現不可能とみなされていた彼らの空想はほぼ実現可能なものとなった。今回公開されているのは、そんな最新テクノロジーを駆使して実現した2つのプロジェクト。ともに抽象的かつ空想的で、とても実現困難に思われたアイディアだ。

夢や理想というのは、思い続ければ叶うもの。このコープ・ヒンメルブラウも、約40年にわたって活動し続けてきたからこそ、この素晴らしい成果を具現化することができた。難解な展示内容のすべてを理解せずとも、彼らの思想や世界観に触れるだけでも、十分に刺激的な体験となるはずだ。

 

Data

 

■コープ・ヒンメルブラウ:回帰する未来

 

日程2009年12月23日(祝)まで開催中
会場NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] ギャラリーA(東京オペラシティタワー4階)
料金一般・大学生500円 高校生以下無料
お問い合わせ:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] TEL 0120-144199
www.ntticc.or.jp/Exhibition/2009/CoopHimmelblau/

Text: Sachiko Kajino(OUTSIDERS Inc.)

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2009年10月 1日

Space

NASAがロケットの製造工程を一挙公開!

 宇宙ロケットの組み立て工程が、You Tubeに公開されていることをご存じだろうか? 動画のタイトルは「TIME LAPSE CAMERA CAPTURES NASA ARES I-X ROCKET BUILDUP」。これは、ゼロの状態からロケットが完成するまでの過程を余すことなく記録した動画である。
画面に映っている広い格納庫のような場所は、ケネディ宇宙センターのロケット組立棟「Vehicle Assembly Building」。造られているのは、NASAが開発中の次世代有人ロケット「ARES I-X」だ。まずは本体部分のパーツが運ばれ、徐々に組み立てられていく。さらに組み立てられた本体部分を上へ上へと重ね合わせ、すべて固定されるまでを披露。まるでプラモデルのようにロケットが組み立てられていく様子は実に貴重であり、その工程の一連を垣間見ることができるのはとても興味深い。これは2008年11月3日から2009年8月30日の記録を5分45秒にまとめたもので、開発までに多くの人材と長い年月がかかっていることは言うまでもない。
いまやリチャード・ブランソン率いるヴァージン・ギャラクティック社を筆頭に、宇宙関連事業に民間企業が参入する時代。このロケットの製造過程を見て、「自分もかつて抱いた宇宙への憧れを事業として実現できるのでは!?」という閃きがあった方、ぜひ宇宙事業参入へチャレンジを!

Text:Sachiko Kajino

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