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Vol.2
大地と星の時間の狭間で
ユタ州・アメリカ合衆国

写真家・竹沢うるまが切り撮る“現在の地球”
いま、世界一周の途中。

 アメリカ・ユタ州。どこまでも続く大地と、さらにその先、無限の地平線の先までまっすぐ延びる道。時速80マイルで州道163号線を北に車で走り抜ける。時折、思い出したように対向車とすれ違うだけで、自分が運転する車以外動くものは何もない。空は青く澄み渡り雲ひとつない。その空の下、ぽつんぽつんと平坦な大地に垂直に切り立つような巨大な岩山が点在している。

 ユタ州に点在するそんな大地の造形のすぐ側で、夜、テントを張り、暗闇の中、この大地に積み重なってきた時間について思いを巡らせた。
 これらの岩山は、長い時間をかけて繰り返されて来た無限の雨と無数の風によって削り取られた自然の造形である。一体どれだけの時間が積み重なると、これほどの巨大な岩がここまで削りとられるのだろうか。百万年か一億年か、あるいは地球誕生以来の時間の積み重ねか。想像もできない。この大地にいると時間の感覚が狂い始める。
 テントを出て空を見上げる。するとそこには無数の星が。思えば、これらの星々はこの大地が内包する時間よりもさらに長い時間をその光の中に持ち合わせている。それがいま天を埋め尽くしている。一体、この宇宙にはどれだけの時間が存在しているのか。
 僕ら人間ひとりひとりが持つ時間は、たかだか70年前後である。この大地や、星々の時間からすれば、それは僕らが瞬きをする時間にも満たないだろう。しかし、星にとっても大地にとっても僕にとっても、時間はいまの積み重ねでしかないのかもしれない。
 星の時間と大地の時間。そしてその狭間に立つ僕のいま。その3つの時間が交錯した夜。この風景は、星と大地が内包する時間の風景に見えた。

 

写真家・竹沢うるまは今現在、陸路での世界一周の空の下にいる。2010年3月に東京を出発し、アメリカからスタート。中米、南米、アフリカ、ヨーロッパ、中近東、アジアを巡り、日本へと帰る旅。帰国は2011年、場合によると2012年になるという。
目的は“現在の地球の姿”を、その若く瑞々しい感性で写真で記録すること。この連載は、地球のどこかを旅するうるまから届く、生の写真とエッセイをお届けするものだ。 さらに、うるまが本当のゴールとするものは、30年後に再び同じルートで世界を撮影して巡り、写真を比べること。そして、ひとりの人間の半生の間に、地球はどこに向かったのかを映し出すこと。

「私たち人間は、この地球という星のことを、一体どれだけ自分の言葉で語れるでしょうか。“ボクらが生まれた星”はいったい今どんな姿なのか、ひとりでも多くの人に伝えたいと思います」――竹沢うるま

 

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竹沢 うるま
1977 年生まれ。写真家。「うるま」とは沖縄の方言でサンゴに囲まれた島の意。出版社のスタッフフォトグラファーを経て、2004 年独立、URUMA Photo Officeを設立し活動開始。雑誌、広告の分野で活躍し、海外取材は通算100回を超す。世界中の自然を主なフィールドにする自然写真家。
公式サイト www.uruma-photo.com
著作物
写真集「URUMA –okinawa graphic booklet-」(マリン企画)、「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(小学館から2010年7月20日に発売)。その他ポストカード、カレンダー等。
個展暦
2005年「TWILIGHT ISLAND」(DIGZ原宿)、2007年「Rainbow's End」(Palau Pacific Resort)、2007年「URUMA -日本の異次元空間を旅する-」(丸善・丸の内本店)、2008年「Tahiti ~タンガロアが創った島々~」(PENTAX FORUM)、「Tio's Island」(大手町カフェ) 、2009年「Tio's Island ~南の島のティオの世界~」(KONICA MINOLTA PLAZA)

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