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ジャック・ガルシアの現代的「エキゾチシズム」！
リニューアルオープンした、マラケシュ伝説のホテル

高層ビルや高級ホテルが次々と建設され、近年まれに見る勢いで成長を遂げた都市といえば、みなさんご存知のドバイ。世界的な不況でその勢いは衰えているとはいえ、世界一、世界初の記録を簡単に塗り替えてしまうその開発計画は、今後も注目を集めることでしょう。そんなドバイの影に隠れていますが、同じく近年、高級リゾート地として変化を遂げているもうひとつの都市が、モロッコ・マラケシュです。大雑把にいえば、モロッコもドバイ同様、アラブ世界の一国なわけですが、モロッコは、よりエキゾチックで幻想的な雰囲気が残っている、世界で最も魅惑的な都市のひとつです。

マラケシュは、5つ星ホテルの建設計画が目白押し

上写真：スタンダードルームのなかで最もランクの高い「ドゥリュクス」からは、庭園とマラケッシュの町並みが眺望できる。トップ写真：ヤシの木に囲まれたホテル入り口。重厚で調和の取れた建築が、アラブ・アンダルシア様式の特徴。
モザイクに囲まれて味わうフランス料理。パリの2つ星レストランのシェフ、ジャン=ピエール・ヴィガト氏がレシピを監修している。モロッコ料理は庭園にあるリアドの中にある。

いまマラケシュでは、高級リゾート地でのカジノ経営やパリにパラスホテルを構えることで知られる「フーケッツ・バリエール」が2008年にオープンしたのを皮切りに、「フォーシーズンズ」と「マンダリン・オリエンタル」が2010年、「スターウッド・グループ」は2011年末にと、５つ星ホテルのオープンラッシュが続いています。そして2009年9月には、伝説のホテルとも呼ばれる、モロッコ随一のホテル「ラ・マムーニア」が、3年もの改装工事を経てリニューアルオープンしました。

「ラ・マムーニア」は1923年に創業、城壁に囲まれた旧市街にある老舗で、チャーチル元イギリス首相やエリザベス二世、ネルソン・マンデラら世界の著名人を顧客リストにもつ、格式のあるホテル。アルフレッド・ヒッチコックが映画『鳥』の構想を得たことでも有名で、その濃密な空気は古くから世界中のセレブリティを魅了してきました。リニューアルオープンのパーティーは、女優のジェニファー・アニストンやグウィネス・パルトロー、モデルのミランダ・カーら、ハリウッドのセレブたちが出席して、豪奢に行われたことでも話題に。

ヨーロッパとモロッコの文化が融合した、魅力的サービスの数々

新ホテルの内装は、パリの「オテル・コスト」やモナコの「オテル・エルミタージュ」などを手がけたフランス人のジャック・ガルシアが担当。創業時からのアラブ・アンダルシアと、ヨーロッパのアールデコ様式を融合した格式の高さに、モロッコ先住民のベルベルの伝統様式が加味され、より現代的な「エキゾチシズム」を演出しています。

客室は136室、スイートも71室ありますが、より満ち足りたエキゾチックな滞在のためには、リアドに宿泊を。リアドは、邸宅を改装したホテルのことで、「ラ・マムーニア」の敷地内にも3つのリアドが。それぞれ3つの部屋とテラス、プライベート・プールを備え、700㎡の敷地を独り占めできます。

このほかホテルには、700㎡のプールやテニスコート、2500㎡を誇るスパを併設。スパでは、もちろんアラブ伝統のサウナ「ハマム」を堪能してください。レストランは、モロッコ料理、フランス料理、イタリア料理の3店があり、特にヨーロピアン料理のレベルはマラケシュ随一といってよいでしょう。朝食は、ヒッチコックを気取って朝の光に満ち溢れたプールサイドでのブッフェも一興。ホテルの周囲は8ヘクタールを誇る庭園が広がり、そこにはオレンジやヤシ、5000本ものバラ、樹齢700年を超えるオリーブの木々などが茂っています。

昔ながらの「ラ・マムーニア」ファンは、ひょっとするとこの改装が少々寂しい気がするかもしれません。しかし「オテル・コスト」のデザイナーの演出は、マラケシュでの滞在に新たな感動を与えてくれることでしょう。そしてその感動こそが、新たな伝説へと繋がるのかも知れません。