HOME > ROAD > Road to Le Mans ~ル・マンへの道~ > Vol.12 新シーズンへ、先陣を駆る! 新マシン・シェイクダウン&Faust Racing Team 2011新春走行会

画像

Vol.12
新シーズンへ、先陣を駆る!

新マシン・シェイクダウン&Faust Racing Team 2011新春走行会

Faust.RTがスーパー耐久に参戦を始めてから今年が4年目。新シーズンはマシンを、昨年までのポルシェから、BMW Z4M Coupeにチェンジすることとなった。今回は、そのシェイクダウンテストと、同日行われた『Faust Racing Team 2011新春走行会』の模様をお届けする。

朝早くからピット内は興奮状態





富士スピードウェイ、通称FISCO、1月15日朝7時。外気温1℃で、吐き出される息は白い。ピット裏のパドックにはレーシングカーを積んだ積載車や、走行会を楽しむため自走してきた車両で埋まり始めていた。
この日はモータースポーツ・レースを数多く主催する『大沼プランニング』の走行会の日。その場を借りて、Faust.RTが2011年シーズンを戦うBMW Z4M Coupeのシェイクダウンと、Faust会員向けのイベントとして新春走行会が開催された。チームのニューマシンのテストをしながら、会員にはレース専用車での同乗体験走行をしてもらおうというビッグな企画だ。
ピット内では、すでにZ4と、同乗走行用のポルシェ996が交互に爆音をあげてスタート前の調整を行っている。ポルシェは昨年まで3年間、シーズンを戦ってきたマシンで、レースでは使うことのない同乗者用シートが追加されている。その2台に加えて、自らの手でサーキットを走りたい人のために用意されたホンダS2000、オーナーカーで走行する会員の車両などが並べられ、華やいだ雰囲気となっていた。

新体制の2011 Faust.RT

まず、現在まで確定しているチーム体制について報告しよう。メンテナンスはBBRで、代表は志村氏。セッティング&ドライバーコーチにはプロジェクトミューの山野氏、チーム総監督は元トヨタワークスドライバーの見崎氏。ここまでは昨年と同じだが、違うのはドライバー体制。今までのシーズンではチームキャプテンである堀ロバート以外のドライバーは、レース毎に入れ替わりで望んだが、2011シーズンは車両を購入した3名、堀・佐藤・岡本の固定メンバーが基本となる。
今シーズン使用するBMW Z4M Coupe(Racing)は、BMW のスポーツクーペZ4をベースに、BMWモータースポーツ社がレース仕様にモディファイしたマシンで、耐久レースに参戦するプライベートチームに供給され、世界各国で好成績を挙げている車両。スーパー耐久シリーズでも2008、2009、2010と3年連続でチャンピオンとなっている。Faust.RTのマシンは、そのチャンピオンチーム「PETRONAS SYNTIUM」が所有していた4台のうちの1台だから、戦闘力は折り紙付きだ。
Faust.RT が参戦する2011年のスーパー耐久シリーズについても今年は大きく変わる。まず全7大会の国内シリーズに加え、中国、韓国の2カ国3大会のアジアラウンドが追加され10大会となる。Faust.RTは国内6戦に加え、余裕があれば海外1戦の参戦を予定している。また新たに、FIA(国際自動車連盟)のGT3公認を受けた車両のみが参加可能な新クラスSTXが設けられることも大きな話題となっている。このSTXクラスには、すでにアウディのR8 LMS(アウディスポーツ社が販売するプライベートチーム用のレースマシン)の参戦が決定しており、国内では唯一GT3マシンが見られるレースとなる。世界で一番成功しているGT3カテゴリーだけに注目だ。

Z4のシェイクダウン

今季ドライバーの2名、堀と岡本は昨年、車両購入に至る過程の中で、このBMW Z4M Coupeをわずかの時間だがサーキットでドライブしている。レース前のフリー走行の時間を借り、わずか数周。なので、本格的にサーキットを走るのは初めてといっていい。Z4とは初体面となる佐藤と実質変わりはない。

走行会の模様を動画でチェック!

まずコースに飛び出したのは岡本。帰ってくるなり、
「速い、高速コーナーが全然違う。コーナリングマシンだね、100Rを抜けていくスピードが違うよ」
続いて乗った佐藤は、
「吹き上がりがマイルドでトルクがあって、よっしゃ!の時には走っていかない感じだけど、それでいてスピードにのっている。車体も安定しているからスピード感がない」
最後に乗った堀は、
「ブレーキが重たい、ドカンと踏まないと止まらない。まだ全然自分のものにならない」
それぞれが意見を交換しあうが、最初のドライブ。誰もがその感触を確かめているようだ。
朝一番には1分53秒台だったZ4のラップタイムは各ドライバーの慣れと、気温の上昇とともに詰まっていく。ドライバーチェンジを終え、各2回目の走行では、48秒台、47秒台と、目安ラップ1分50秒台を続々と切ってくる。占有しているわけではないので、コース上を走る約60台の走行会車両の間隙を突きながら…である。
そして最終的に掲示されたベストラップは1分46秒後半。これは昨年FISCOで開催されたS耐、唯一のドライコンディションで行われた練習走行中、ペトロナスBMW Z4Mが出したベストラップと同等のタイム。コンディションが違うので同列には語れないし、この時期のラップタイムはレースと関係ないが、シェイクダウンとしては上々。ドライバー達も思いのほか速いタイムに驚いている。

今シーズンにかける思い

試乗を終えた上で、それぞれのドライバーに今年の目標を聞いてみた。
岡本「3位。表彰台にのりたいですね。簡単な目標じゃないのはわかってますけど」
佐藤「表彰台。運を味方につけて一度はね。努力すれば最後はむくわれると信じたい」
堀「何回かは表彰台にのりたい。BMWだけで4台いるけど、楽しみの方が大きい」
1月の段階で、BMW勢は、昨年までのチャンピオンチームペトロナスの2台、他の1台を加えて総勢4台。さらにポルシェ、日産GT-Rとライバルは多い。

最後に総監督の見崎もZ4をドライブして、こう語った。
「今年は目立たないとまずいでしょ。去年のマシンと比べればZ4は現代のレーシングカー。テクノロジーが詰まっているので、極端に言えば、ドライバーは余計なことをしなくていい。運転に専念できるからドライバーの力量が問われる。一生懸命やらないといけないね」
ドライバー達の目標はあくまで表彰台にあると伝えて、改めて監督としての目標を聞いた。
「優勝はできなかったけど、惜しかったね…まではいきたいですね」
微妙な表現だが、一段高みを狙っているともとれる発言。プロドライバー達のチームがいて、彼らの“腕”を知っている以上は、軽はずみに大きなことは言えない。ただ、チームが積み重ねた3年間と言い訳のきかないマシンなら、表彰台のあと一段、二段はノーチャンスではない。

異次元の迫力を体感!
Faust.RT2011新春走行会レポート

同日行われた『Faust Racing Team 2011新春走行会』に参加したFaust会員は約30名。ブリーフィングルームに集合し、主催者側からサーキットでの諸注意を受けた後、ピット上に用意された貴賓席/クリスタルルームまで移動、タイムスケジュールなどの説明を受けた。その後しばらくはフリータイムで、クリスタルルームで軽食をとったり、ピット内でテストの様子を見守ったりしながら、体験走行のスタート時間を待っていた。



イベントのスペシャル企画として用意されたのが、昨シーズンのレースマシン「ポルシェGT3-JGN 996」に設けられた助手席での同乗体験走行。ドライバーはシェイクダウンに参加した堀・佐藤・岡本とコーチの山野、さらに特別ゲストとして、F3ドライバーの千代勝正選手が加わった。市販車とはまったく違うレーシングカーの“生”の迫力を、インカーで感じることのできる貴重な機会。しかも全4周、約8分の長い時間、ストレート全開2本とハイスピードコーナリングが味わえる異次元体験である。
以下は同乗体験走行が終わった直後の会員達の感想だ。
「初めてのサーキット体験だけど、楽しかった」
「凄いスピードなのにちゃんと曲がっていく、スピンしそうでしないね」
「クルマって意外とすべらない。想像より怖くなかった」
「ドライバーの運転技術が凄い。あんな運転ができたら楽しいですね」
「直線スピードには驚かなかったけど、コーナーの速さに驚きました」
「排気音やエンジン音にワクワクです」
「ありえないスピードで曲がっていくのに驚いた」
「ここまでブレーキ我慢するのか?まだいくのか?って感じでした」
「素晴らしい体験」(女性)
「途中でクルクル回っている車がいて、びっくりした」(女性)
「ついつい脚を踏ん張ってしまう。首に力が入りました」(女性)
「いっぱい抜いていくのが楽しかった」(女性)

同乗体験走行会のラップを見ると、2分を切るスピード。速い時には53秒台まで出ている。安全マージンをとってるとはいえ、かなりなハイスピードなので、コメントどおりの興奮は疑いようがない。
サーキットスピードに慣れたところで、希望者はS2000での体験走行に。朝のブリーフィングでライン取りや、抜き方抜かれ方、ポストから振られる旗の説明などを受けているが、さすがに参加者は少なめ。それだけ同乗走行の満足感が高かったのだろう。追加で時間いっぱいまで同乗走行が続けられた。

エピローグ

体験走行会の終了後は、クリスタルルームでドライバーをまじえてのランチタイム。各テーブルに散ったFaust会員からは、今日の体験走行の話題を中心に、ドライバーへの質問が次々と飛び出した。食事を終える頃には、キャプテンの堀から、2011年のチーム体制発表があり、さらに今シーズンへの決意表明や、会員走行会の計画が話されるなど、場の雰囲気は大いに盛り上がった。用意された1時間はアッという間に過ぎ、会員達はサーキットでの再会を約束し、イベントは閉会した。

Data

新マシン・シェイクダウンテスト&Faust Racing Team 2011新春走行会
日時:1月15日(土)
場所:富士スピードウェイ

Back Number

画像

このカテゴリーのインデックス

Page Top


  • Mail News
  • 画像クリックでイメージムービーがSTART

  • 冒険のクロニクル  Presented by BREITLING
  • Award Archive
  • ファウスト魂