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時を越えて愛されるウィスキー
ブレンドは化学を越えた芸術
ジム・ビバレッジ ジョニーウォーカー8代目マスターブレンダー

世界中で親しまれているウィスキーのブランド、ジョニーウォーカー。その最高峰が「ジョニーウォーカー ブルーラベル」です。19世紀に誕生したジョニーウォーカー創成期の幻の味わいをそのままに再現した、このブルーラベルは、華やかな琥珀の色合いと、豊かな香りで人々を魅了します。そのブレンドを担ったのが8代目マスターブレンダーのジム・ビバレッジ氏。彼のウィスキーに懸ける情熱をうかがいました。



ボトルデザインも優雅にリニューアルされたジョニーウォーカーブルーラベル

――ビバレッジ氏は現在、8代目のマスターブレンダーでいらっしゃいますが、ジョニーウォーカーに携わられてどれくらいになられるのでしょうか?
私は大学で化学と科学を学んだ後、ジョニーウォーカーに入りました。現在32年目になります。はじめの15年余りは、各地の蒸留所を訪れたり、社内の研究所でブレンドについて化学的に解析する仕事に携わっていました。

――8代目ブレンダーとして感じていらっしゃるプレッシャーはありますか?
はい。大きな責任を負っていると感じています。かつて、ウィスキーには「ブレンドする」という概念すらありませんでした。それをジョン・ウォーカーが「スパイスや紅茶と同じようにウィスキーをブレンドしてみよう」と挑戦したことがはじまりです。いわば、ジョニーウォーカーの歴史がそのまま、ウィスキーのブレンドの歴史でもあるのです。1820年から続いているその歴史の末に、私が連なっているということですから、肩にずしりとした重みも覚えます。しかし同時に、ジョン・ウォーカーをはじめとした先人たちが、私の仕事を見守ってくれているということでもあると感じています。ですから、責任と共に、やりがいと面白さがありますね。

――今回のブルーラベルは、創業当初の味を再現したものであると言われています。その味を作り出す上でのご苦労は何でしょう? スコッチウィスキーの作り方というのは、ある意味、とてもシンプルです。水にモルトの風味を移し、そして樽の香りを移していく。人が余計な手を加えることなく、じっくりと時をかけて作られます。しかし、ブレンドして目指す味を作るとなると、それは人の手と味覚を伴った複雑な仕事になります。原酒はたとえ素材が同じでも、ほんの少しの気候や温度などの条件が異なるだけで、樽の味は違ってきます。ブルーラベルは、ジョニーウォーカーの数あるウィスキーの中でも特別な逸品ですから、それに使える樽を選ばなければなりません。ジョニーウォーカーには常時、700万を超える樽があるのですが、それらを味わい、香りを確かめて、相応しい原酒を選び出します。実際にブルーラベルに使える樽というのは、1万樽の中に1樽くらいしかありません。その樽を見出してブレンドすることで、ブルーラベルは初めて出来上がるのです。

――ブルーラベルはどんな時に飲んで欲しいと思われますか?
特別な日に飲んで欲しいと思いますね。例えば一つ大きな仕事を終えた時のご褒美として。また、家族の特別な記念日にもぜひ飲んでいただきたい。おすすめは、氷も入れず、常温でストレート。水を口に入れて味覚を敏感にしてから、ゆっくりとグラスを回してグラス側面の滴を見ながら香りを楽しむ。手の中でグラスを温めながらゆっくりと味わってもらえたら、最もブルーラベルの味わいを楽しむことができると思います。

――おすすめのウィスキーの御供は何でしょう?
色々なものを試してみて欲しいですね。私は生姜の砂糖漬けや、オレンジやイチジクのドライフルーツなど、スパイシーさと甘味のあるものと相性がいいと思っています。きっと、他にも似合うものがあると思いますから、色々と試してみてください。

――なるほど。では、9年後のブレンドも今から楽しみですね。
はい。また、その時には私の後進となるブレンダーたちも、きっともっと成長していることでしょう。現在、私の下には10人のブレンダーがいます。全員、化学を学んできた優秀な人です。しかしブレンダーとしての素質は、化学者として優秀であるばかりではなく、何よりもまず、ウィスキーが大好きであることが大切なのです。私のようにね。そうでなければ、味や香りの魅力には気付けませんから。

――それでは、ウィスキーを作る上で最も大切なことは、やはりウィスキーが好きであることなのでしょうか?
もちろんです。私自身、化学の知識を身に着け、化学的に蒸留について研究もしています。その基礎知識というのはもちろんとても重要です。しかし、その化学式だけでは解けないものが、ウィスキーのブレンドには存在します。理論や化学を越えたものが確かにあって、それがこのウィスキーの魅力を作っていると思うのです。いわば、ウィスキーは創造する芸術でもあるのです。それを創れるのは、何よりもウィスキーという酒の魅力を知っている人にしかできません。だからこそ、飲む人を魅了し、その人の人生を彩ることができる。ブルーラベルにはそういう力があると信じています。

 

ジョニーウォーカー
ブルーラベル

(750ml / 18,000 円)

熟成の頂点を見極めた希少な原酒のみをブレンドしつつ、 ジョニーウォーカー創始者の残したレシピを再現。ビロードのような舌触りと、心地よく続く余韻が特徴。

 

ジム ビバレッジ
ジョニーウォーカー8代目マスターブレンダー

に勤めて32年。大学では化学と科学を修め入社。製造やブレンドを学び、現在に至る。ジョニーウォーカー ブルーラベルのブレンドにも携わった。

 

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MHDモエヘネシーディアジオ株式会社
http://www.mhdkk.com/index.html

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