英国靴「チーニー」の社長に聞く
最新「靴ビジネス」事情
ウィリアム・チャーチ チーニー 代表取締役
紳士の国としての伝統を誇る英国は、あらゆる優れた製品を生み出してきました。特に「靴」の分野では、一流と呼ばれる靴製造の技術力が世界的に認められています。今回は英国靴の聖地として有名なノーサンプトン(ロンドンから北西に列車で一時間ほどの街)で1886年創業、歴史と伝統を誇る「チーニー」の靴について、さらに最新の英国靴事情とあわせて、チーニー社のウイリアム・チャーチ氏に伺いました。
――英国の本格靴と言えば、グッドイヤー・ウェルテッド製法の丈夫で重厚な靴を思い浮かべますが、最近のチーニーのコレクションは、そうしたもの以外にも繊細でスマートなスタイルのものが多いですね?
そうです、最近は洗練されたスマートなスタイルの靴が英国では好まれています。さらに靴底を見て頂ければわかりますが、チーニーでは英国伝統の高級靴の特徴であるオークバークと呼ばれる、特別になめされた革製の底材を採用しています。
――なるほど通常の革底の色と違う。革底は色分けされ、ステッチも見えないですね。
よく気が付きましたね。実はステッチは手間が掛かるヒドゥン・チャネル(隠し縫い)が施されています。そしてヒールの内側には、歩行時にボトムスがひっかからないように、小さくカットしたコーナーがあります、このカットのことを英国ではジェントルマンズ・コーナーと呼んでいます。
――なんと靴底にも細かい配慮が。さすが紳士の国の伝統技、まさに英国靴の底力を感じます。ところで、英国での最新の靴事情についても、教えて頂けますか?
最近、英国の若いビジネスマンたちが、以前よりスタイリッシュなスーツスタイルを着用するようになってきました。チーニーのショップもロンドンのシティ(金融街)に位置していて、当然ながら英国以外のお客様も多いのですが、シティで働くスーツ姿のビジネスマンの購入も増えています。
――今後の靴ビジネスについてはどんな考えをお持ちですか?
現在、ビジネスシーン、カントリースタイル、カジュアルと各場面に応じた様々なスタイルの靴作りを心がけています。例えばジーンズなどに合う、カラーリングやデザインを工夫したモデルを作ることにもトライしながら、新たな英国靴スタイルを模索中です。それは日本でのセレクトショップをはじめとする、個性的なディテールのリクエストにも対応する靴作りにも通じることだと思っています。
――それでは最後に、ファウストの会員に向けてのリコメンドをお願い致します。
やはり我々のインペリアル・コレクションの靴をお勧めします。中でもバッキンガム(ストレートキャップ)、サンドリンガム(フルブローグ)です。これらの靴を履いて頂ければ、間違いなくチーニーのスタイルや履き心地のよさを実感して頂けると思います。
BUCKINGHAMバッキンガムチーニーのインペリアル・コレクションの中でも、最もベーシックなモデル。底材にはオークバークを使用、土踏まず部には特殊なシャンクが内蔵され歩行時の靴の返りが素晴らしい。ビジネスから冠婚葬祭まで多用途に履ける。 |
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SANDRINGHAMサンドリンガムチーニーのインペリアル・コレクション、従来のフルブローグに比べエレガントでスマートな仕上がりのモデル。アッパー素材はストレートキャップと同じブラック・カーフ。底材の仕様もバッキンガムと同様。 |
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WILLIAM J CHURCH
1967年英国ノーサンプトン生まれ。有名なチャーチ社創業の家系に育ち、大学在学中にMBAを取得。後に国際不動産の経営に携わり、1995〜2009年まではチャーチ社の取締役を務める。2009年よりチーニー社のトップのポジションで経営を遂行。現在英国の靴業界で、最も注目される人物である。
問い合わせ
渡辺産業プレスルーム TEL:03-5466-3446
http://www.watanabe-int.co.jp/top.php?brand=CNY
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