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まだ誰も見たことのない世界へ――。
ヴァージンが次に目指すのは、深海！

私たちの住むこの地球の表面の約70％を占める海。しかし私たちが知り得ているのは、そのうちのほんの数パーセントでしかない。光の届かない真っ暗な深海にはどんな生態系が広がっていて、どんな可能性を秘めているのか、実態はまだまだベールに包まれている。そんな世界に挑まんと、今年4月、イギリスの実業家サー・リチャード・ブランソンが、「ヴァージン・オーシャニック」を立ち上げ、海への冒険に乗り出した。

故スティーブ・フォセットが抱いた夢を、
サー・リチャード・ブランソンが実現させる

小型機で飛行場を飛び立ったまま行方不明となり、2008年に死亡宣告がなされた、世界的に有名な冒険家スティーブ・フォセット。生前、彼は世界でもっとも深いと言われているマリアナ海溝に単独潜水を計画していた。親しい友人であったブランソンは、彼亡き今、その志を受け継ぐかのように、マリアナ海溝潜水と、さらに海の探査に貢献するための一大プロジェクトを始動させた。（メインの画像は、サー・リチャード・ブランソンとアメリカの探検家クリス・ウェルシュ）
ミッションは深海の可能性を探ること。深海は太陽の光がまったく届かず、水温も低く、さらに高い水圧がかかることから、調査は難しく、これまでのところ海の3％ほどしか実態がわかっていない。ブランソンが「深海には探査すべきものがたくさんある。我々は新しい世界で興味深い生物を多く発見したい」と抱負を語るように、無限の可能性を求めて、ヴァージン・オーシャニックは、フォセットが目指したマリアナ海溝をはじめとした、5つの海のそれぞれもっとも深い海溝を2年間にわたって調査する予定だ。

最初の予定地、（1）マリアナ海溝（北大西洋／深さ約11,033メートル）。次に（2）プエルトリコ海溝（大西洋／深さ約8,605メートル）を目指した後、ディアマンティナ海溝（インド洋の／深さ8,047メートル）、南サンドイッチ海溝（南洋／深さ7,235メートル）、モロイ・ディープ（北極海／深さ5,608メートル）を調査する予定）

まるで「飛ぶ」ように海底を自由に動き回る、
ヴァージンの一人乗り潜水艇

実は過去にマリアナ海溝に到達した潜水艇があった。1960年にマリアナ海溝に達したその「トリエステ」という潜水艇はバルーンの動きに似ていて上下に移動できるのみで、深海での滞在時間もほんの数十分と限られていた。
それから50年が経った今回の探査の要となるのが、潜水艇設計者のグラハム・ホークスによってデザインされた潜水艇だ。性能においても、経済的な面においても格段に進歩した一人乗りのこの潜水艇は、約11200メートルの深さまで到達することができ、「トリエステ」とは違って、約10キロの距離をまるで「飛ぶ」ように自力で動き回ることができるため、研究データをより多く収集できると専門家の間でも期待が高まっている。

全長約5.4メートル、全幅約4メートル、高さ約1.7メートル

現在、グアム島沖で試験潜航が行われており、年内には最初の活動となるマリアナ海溝での探査を予定している。マリアナ海溝の最深部は、深さおよそ11,000メートル。成功すれば、前出の「トリエステ」が最深部に到達して以来の出来事となるだけでなく、最新技術の潜水艇によってさらなる探査が可能だ。
2回目の探査では、パイロットとしてブランソン自らが乗り込み、大西洋にある約8605メートルの深さのプエルトリコ海溝を目指す。プエルトリコ海溝はこれまで探査されたことがないため、世界初の探査になるのも注目だ。海洋研究の新しい扉が拓かれるのを前に、ブランソンは、「このプロジェクトで世界初の快挙を成し遂げるとともに、ギネス記録を30個打ち立てることになるだろう」と意気込みを語る。

From Faust A.G. Channel on [YouTube]

壮大なるプロジェクトをリアルに再現したCGで！
★【YouTube：FaustA.G.チャンネル】でもご覧いただけます（スマートフォンの方はこちらがオススメ）

プロジェクトにはパートナーとしてグーグルも参画しており、グーグルのマッピング技術によって映像が記録される予定。グーグル・マップやグーグル・アースで深海の様子をリアルに感じられる日が近い将来やってくるだろう。（沖縄の信仰に言うところの）「ニライカナイ（理想郷）」があるとも言われる深海で、私たちは何を発見するのだろうか。