「建物自体が最高のトロフィーさ!」
人類未踏のダイブに挑むスリル・アディクト
どうしてこうも人類は高いところを、登るか、造るか、はたまた飛び降りるか、したくなる生き物なのでしょうか?
今回ご紹介するのは、世界一の“飛び降り好き”、フェリックス・バウムガートナー氏。飛び降りるといっても、彼が行うのは上空を飛ぶセスナやヘリコプターからのスカイダイブではなく、高くそびえる高層建築物からの”ベースジャンプ”と呼ばれるもの。
彼の快進撃は、1997年、アメリカで開催されたベースジャンプの世界大会で優勝に輝いてから始まります。99年には、当時世界一の高さを誇ったマレーシ ア・クアラルンプールのペトロナス・ツイン・タワーからジャンプ(451m)。さらに半ば呆れてしまうのは彼の選択です。まるで「ジャンプ場所は高ければ いい訳ではなく、危険であるほどいい」と考えているかのように、同年には、リオ・デ・ジャネイロのキリスト像の手のひらの上から、世界一“低い”ジャンプ も実現しています(29m!)。
真骨頂は、2003年12月、ドーバー海峡を“フリーフォールで横断”したダイブでしょう。カーボンファイバーのウィングを背負い、飛行機で地上 9800mから宙へと身を躍らせ、最高時速380㎞、約14分間で全幅36kmほどの海峡を横断するという、前代未聞の大記録を打ち立てました。
そうです、ジェットエンジン付きウイングで同海峡を横断したフュージョンマンに先駆けて、彼はフリーフォールで横断していたわけです。
レオナルド・ダヴィンチの発明にちなんで「イカロス2計画」と名付けられたこのプロジェクト成功は、世界中にニュース配信され、彼は妥協なきチャレンジャーとして一躍脚光を浴びたのでした。
「2番目では意味がない。世界一を、しかも一番最初に制覇してこそ意味がある!」が彼の信念。
その後も、世界で最も高い橋、フランスのミヨー橋(343m)など数々の高層建築からジャンプを決めています。
セキュリティをかいくぐるスリル
しかし、実は彼が行うベースジャンプは、世界中ほとんどの場所で禁止されているエクストリームなスポーツ。いくらパラシュートを身に着けているとは言え、 高層ビルの屋上から飛び降りるのですから、それは仕方のないこと。ですので、時にジャンプに成功しても、公けには発表できないという、彼ならではの苦労も 伴います。
実際、成功から数カ月の間をおいて2008年夏に発表されたのが、完成した建物では現在高さ世界一の「台北101」(509m)でのジャンプ。ただ、彼も 最初から違法ジャンプを良しとはしていたわけではありません。当初は台北101側に申請し、なんとか許可を得ようと粘って交渉したものの、結果は無念の却 下。
しかし、「最高の建物が自分を呼んでいるんだ!」と熱くたぎる彼の血潮は、そんなことで抑えられるものではありません。ついに逮捕覚悟で建物内の厳重なセ キュリティをかいくぐり、3度目の挑戦で見事侵入に成功。正攻法では荷物チェックでパラシュートのリュックを没収されるため、時間外に建物内の男子トイレ の天井裏にリュックを隠すという強硬手段を遂行。まさに犯罪スレスレです。
こうして屋上からフェンスを乗り越えて、悲願のジャンプ(動画は公式HPをチェック)! みごとパラシュートを開いて着地に成功。タクシーを拾って現場から走り去り、2時間後には香港へ向かう機上で祝杯を挙げたのでした。
「無許可のベースジャンプは、ジャンプまでのプロセスに始まり、成功後の逃亡まで、全てがスリルの連続。それが堪らないんだ!」とバウムガートナー氏は熱く語ります。
と、そんなスリル・アディクトの彼は、母国オーストリアやドイツで大人気。彼のジャンプの成功にファンは一喜一憂し、次はどこからジャンプしてくれるのか、期待を込めて応援しています。
ただしバウムガートナー氏は、世界中のセキュリティの要注意人物リストの筆頭に上がっているゆえ、残念ながら今後の予定は「マル秘です」とのお答え。
われわれ事務局としては、彼に「東京には近年高い建物がたくさんできたよ」とこっそり情報を流しつつ(?)、彼が何かやらかし次第、ご報告することにいたしましょう。
Felix Baumgartner
今年で40歳になる彼は「レッドブル」のサポートのもと、エクストリームなチャレンジも数々を続行中。パラシュートジャンプや小さなターゲットゾーンへ着 陸する技術はオーストリア軍隊で培った。趣味はボクシング、モトクロス、ロッククライミング。Faust魂を体現し続ける男。
台北101のジャンプムービーをチェック!
フェリックス・バウムガートナー公式サイト
http://www.felixbaumgartner.comレッドブルサイト内バウムガルトナー氏特集
http://www.redbull.com/#page=SearchPage.0レッドブル・ジャパン公式サイト
http://www.redbull.jpPhotos:Red Bull
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