HOME > SOUL > CHALLENGE > スペースシップ２が試験飛行に初成功！「誰もが宇宙に行ける時代」、もはや秒読み!?

スペースシップ２が試験飛行に初成功！
「誰もが宇宙に行ける時代」、もはや秒読み!?

Faustのひとり、稲波紀明が民間初の宇宙旅行を見据えた“無重力体験フライト”に挑んだことを、昨年3月のQuestでご紹介しました。稲波の席が用意される、この注目の宇宙旅客機の実用フライト、準備は着々と進んでいるとのこと！

サブオービタル宇宙旅行の商業化に向けて駒を進めた「スペースシップ２」の前に立つ、ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソン氏。

民間宇宙旅行の商業化を目指すリチャード・ブランソン氏率いるヴァージンギャラクティック社が、ついに宇宙旅客機「スペースシップ2」の1号機“VSSエンタープライズ”の初テストフライトを敢行したのです。同機は今年3月20日、カリフォルニア州モハベ空港から離陸し、母船となる「ホワイトナイト2」に接続した状態でのフライトを実施。所要時間にして2時間54分、高度にして4.5万フィート（13.7km）に及ぶテストフライトを見事に成功させました。
「振動や耳をつんざくような騒音が消え、突然穏やかな無重力状態になる……。誰かが幕を引いたかのように、目の前に虚無の宇宙が広がる」
これは2004年に、世界で初めて民間宇宙旅客機での宇宙飛行を成功させた宇宙飛行士ブライアン・ビリーの言葉ですが、そんな彼の体験がより身近になる日の到来が、今回のテストフライトによって、さらに現実味を帯びてきたのです。
では、実際の宇宙旅行は、一体どういったものになるのでしょうか。乗客を乗せた「スペースシップ2」は、まず母船「ホワイトナイト2」に接続された状態で高度5万フィート（16km）まで上昇。その後、母船から切り離されてロケットエンジンを点火すると、3.5のGフォースを受けながら、音速の3倍にあたるスピードで疾駆し、高度110kmの宇宙空間へと飛び出します。そこで待っているのは、約4分間の無重力体験。この時にはシートベルトを外し、自由に空中遊泳を楽しむことも可能だそうです。窓の外を見れば、眼下に青く輝く地球の姿が……。その後、大気圏への再突入を経て、地球への帰還コースへ。約40分のグライダー飛行を行い、滑走路へと着陸します。所用時間にして約2時間の宇宙旅行ではありますが、それはきっと一瞬の儚い夢のようでありながら、一生の記憶に残る体験になることでしょう。

実用化に向けて準備は着々。
日本人向けの貸し切り飛行も！

今回のテスト飛行を成功させたことで、実用化に向けて一歩コマを進めた「スペースシップ２」は今後、様々なテストプログラムを行って安全性が確認され次第、商業宇宙旅行をスタートします。その日程はまだ定かではありませんが、今のところ来年2011年の開始が濃厚とのこと。価格は1人20万ドル（約1800万円）。およそ2時間の宇宙フライトの他、3日間の事前訓練、健康チェック、さらに参加者本人の宇宙旅行基地（スペースポート）での宿泊代、食事代も含まれます。
現在、この宇宙旅行に申し込んでいるのは330名で、そのうち日本人は12名。さて、ここまで読んで、ぜひ宇宙旅行に参加したいと思い立った方。日本では、クラブツーリズム社がこのツアーの販売を行っているのでぜひご連絡を。同社では、外国人に交じってのフライトは不安という方のために「日本人向け貸し切りフライト」も販売しています。1機目の“貸し切りフライト”はすでに満席ですが、現在2機目の準備を進めているそうです。

母機「ホワイトナイト2」と連結した状態で、約3時間のテストフライトを成功させた「スペースシップ2」。今後は飛行試験を引き続き行いながら、「スペースシップ2」の落下滑空試験や空中打ち上げ試験などを行う。なお、最初の商業フライトは、ニューメキシコ州の「スペースポートアメリカ」で行われる予定。約2時間の商業フライトの内訳は、離陸から空中発射高度までが正味1時間、ロケットエンジン点火・推進約2分、最高到達高度での無重力体験約4～5分、大気圏突入2分、グライダー飛行約40分を予定している。

いよいよ実現間近に迫ったヴァージンギャラクティック社の宇宙旅行。クリーンかつ安全な宇宙旅行を目指し、スタート初年度には500人、10年目までに5万人の人々を宇宙へ送り出す計画だそうです。さらに、会長のリチャード・ブランソン氏によれば「将来的には、従来の宇宙開発とはまったく異なる、環境に優しい科学探査や荷物郵送事業の開発も視野にいれている」とのこと。つまり、「スペースシップ２」の宇宙旅行実現への挑戦は、近未来における宇宙開発の発展への足がかり。高い志を持って時代を切り開く宇宙ベンチャーの旗手として、そして我々を宇宙空間へと誘ってくれるナビゲーターとして、今後も彼らの挑戦を応援しようではありませんか！