Vol.5
自己マネジメントでアイアンマンに挑む!
2009年にはチーム「アラパ」を立ち上げ、今年は白戸太朗著のトライアスロン本をプロデュース。12月には、自身初となるアイアンマンのオーストラリア大会への挑戦を、「ジャストギビング」上でチャリティテーマとして掲げるのが、本田直之。レバレッジマネジメントをテーマとしたビジネス書でベストセラー作家としての顔も持つ彼にとって、これほど加速度的にのめりこむトライアスロンとは?
着実に大会出場を積み重ねるストイックさ
「今の大きな目標は、12月に行われるオーストラリアのアイアンマン(スイム3.8キロ、バイク180キロ、ラン42.195キロ)への出場です。やはり完走することが重要と考えています。これが初のアイアンマンなのですが、一体自分はどこまでできるのか。スイムは得意なので大丈夫だと思うんですが、マラソンは嫌いだったので最後に42.195キロというと、正直どうなるかわからない。僕にとっても相当のチャレンジなので、チームメイトの湯本優さんが代表を務める『ジャストギビング』でもチャリティのテーマとして掲げさせてもらっています」
今年、本田は加速度的にトライアスロンに力を注いできている。3月にハワイ島ラバマンのオリンピックディスタンス※(51.5キロ)、4月にニュージーランドのエクステラ※(トライアスロンのオフロード版)、5月に石垣島(51.5キロ)、6月にホノルル(51.5キロ)と順調に走破。そして6月にはハワイ島にてこれまた自身初となるハーフのアイアンマン(スイム1.9キロ、バイク90キロ、ラン21.0975キロ)にも完走した。すべてプラン通りの出場。着実に物事を進めていく本田がそこにいる。
中でも、「ホノルルトライアスロン」は、本田が住む地元での開催であり、「ホノルルマラソン」がそうであるように、日本におけるブームを牽引する象徴的な大会となりつつあり、力を注いでいる大会だ。
「5月のホノルルトライアスロンは、翌月のコナのハーフ・アイアンマンのトレーニングを兼ねる意味もありましたが、僕としては気合を入れている大会ですね。オリンピックディスタンスは基本だし、今後はより長い距離に挑戦していくのですが、決して余裕というわけではない。それに、ホノルルは僕が一年の半分は住んでいる地元です。僕が主催するチーム『アラパ』でも、チームとして初出場した大会が去年のホノルルなんです。元々はマウンテンバイクやエクステラの日本代表も経験した湯本さんと僕の仲間から広げたチームで、今は70人くらいリスト登録があり、今年のホノルルは25人くらい出場しました。12月のアイアンマンにも10人くらい申し込んでいますよ! ただ、当日そのうち何人が実際に出場するかはわからないけれど(笑)」
きっかけは40歳を超えての激太り
本田がトライアスロンを始めたのは、1992年にさかのぼる。学生時代から水泳をやっていて社会人になっても大会に出場していたのだが、徐々に飽きてきて他に何かないかと思っていたときにトライアスロンに出会った。2回ほど大会に出たが、その後アメリカ留学に伴って、自然と競技から離れることに。
「そうこうして40歳を超えたころ、激太りしたんですよ! 体重70キロオーバー。この年になると、中途半端な運動では体型は戻らないし、健康に悪いのも明らか。それならトライアスロンを復活させて、身体と健康をマネジメントしようと。ハワイは自然に体が動かしたくなる環境で、練習に適していますしね。おかげで、一気に絞り込めました。ただ僕は、トレーニングに関してストイックに取り組む方かもしれません。ステップを決めて、この次はこれ、という風にトレーニング計画を決めないと、怠けてやらなくなるんで。といって、完璧に計画通りにこなせるわけでもないんですが(笑)」
目前に控えるアイアンマンレースに向けて
といいながらも、上述したように着実に大会出場を重ね、日々のトレーニングを確実に積み上げる本田。トレーニングプログラムも、独自に研究して効果的・効率的な作成、実践しているという。
「『Triathlete Magazine's Essential Week-by-Week Training Guide』を元にプランを立てました。でもその通り100%やろうとすると嫌になって続かないので、12月のアイアンマンを見据えて、長期視点でバッファーを考えてやっています。現在はランを多めにやっていて、2週間に一回はロングディスタンスで、バイク100km以上、ラン20km以上が基本ですね」
例えば8月のトレーニングは、スイム15km、バイク533.4km、ラン200km、おまけにサーフィン8回をこなした。そうでなくては、総距離約226キロの「アイアンマンへ挑戦する」と公言できるものではない。
「トライアスロンは3種目あって、それぞれの得意、不得意な種目をトレーニングでもレースでも、自分でマネジメントしながら攻略していくのが面白いですね。僕もホノルルは今年で2回目ですが、去年より、ランが相当早くなりました。苦手種目だったので集中的に練習した成果かな。あとホノルルは他と比べてコースがすごくいい。ふだんバイクで走れない道路を、クルマを全部封鎖して走れるのは最高! 世界的にも珍しいんじゃないかな」
ホノルル、コナのハーフ・アイアンマンをクリア。12月のオーストラリアのアイアンマンを視野に入れ、文字通り自らをマネジメントしながら進む本田。オーストラリアをフェニッシュしたら、その後は世界最高峰、コナのアイアンマンを目指すのみだ。
「アイアンマンも、一回出ればいいってものではないですからね。簡単に飽きたり極めたり出来る、底の浅い競技ではありません。体力的には確実に上がっているし、故障も今のところはないし、僕も他の皆さんと同じで、年寄りになるまでずうっと続けたいですね。もう少し競技人口が増えるといいけど、僕らのようにある程度年齢が行ってから始めると良さがわかるスポーツなんでしょうね。それにトライアスロンは個人競技に見えてみんなでやるのが楽しい競技で、盛り上がりと一体感がすごくいい。こういう楽しい、いい仲間に出会って増やしていって、ずうっと続けていきたいですね」
用語集
※ホノルルトライアスロン…ハワイ・ホノルルで毎年5月に開催される大会。主催はアスロニア。
※オリンピックディスタンス…スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmのトライアスロン。
※スプリント…スイム750m、バイク20km、ラン5kmのオリンピックディスタンスの半分のトライアスロン距離。
※デュアスロン…ラン、バイク、ランのレース。主にラン5km、バイク40km、ラン5kmの距離。
※エクステラ…トライアスロンのオフロード版とも言うべき競技。スイム、MTB、トレイルランから構成。トライアスロンのように整備された道や海で行われず、自然の姿が残る海・湖・山・森などで開催される。
ホノルルトライアスロン公式サイト
http://honolulutriathlon.jp/
本田 直之(ほんだ なおゆき)
レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長。一年の半分をハワイで過ごす。明治大学商学部産業経営学科卒業。アメリカ国際経営大学院サンダーバード校経営学修士(MBA)。(社)日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー。著書にはベストセラーとなったレバレッジシリーズや『面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則』、『パーソナル・マーケティング』、『ハワイを極める50の法則』、『カラダマネジメント術!』 、『ゆるい生き方』など累計170万部を越えている。
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Text:Faust A.G.
Photos: Kazuhiro Watanabe
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