JustGiving Award 2013 開催
グランプリは京都大学iPS細胞研究所が受賞
今年で3年目を迎えるJustGiving Japanが、2月12日、昨年1年間にJustGiving上で活躍したチャレンジャーを讃える「JustGiving Award 2013」を開催した。Japan発足当初から自らチャレンジに参加してきた元プロ野球選手で野球解説者の古田敦也氏のほか、元陸上競技選手の為末大氏などのスペシャルゲストが登場するなか、寄付者、企業、NPOがそれぞれの活動を分かち合い、新たなチャレンジへの意欲を再認識する場となった。挑戦で寄付を募る英国発ファンドレイジングサイト「JustGiving Japan」と「冒険・挑戦・貢献」を掲げるファウストA.G.。2者のコラボによって設立したファウストA.G.アワードでのJustGiving特別賞を通して目覚ましき“挑戦と寄付”を称える同志として、JustGiving Awardの受賞者、そしてその受賞活動に注目したい。(古田敦也氏は2010年ファウストA.G.アワードJustGiving特別賞、為末大氏は2011年同賞受賞。詳しくは右のバナー「ファウストA.G.アワード歴代の受賞者」で)。
それぞれの活動、それぞれの思い
「JustGiving Award 2013」グランプリを受賞したのは、2012年ノーベル医学・生理学賞受賞の山中伸弥教授率いる京都大学iPS細胞研究所。山中教授が自ら研究費用を集めるためにJustGiving上で昨年3月11日開催の京都マラソン完走というチャレンジを宣言したことに端を発し、同サイト内で支援を訴えた結果、現在までに総額2000万円以上という、当初の目標金額の201%という達成率の寄付金が寄せられた。
この日受賞式に登壇した同大学iPS細胞研究所国際広報室の東山真理氏は、「本来なら所長の山中がご挨拶するべきところですが、代理で感謝の意を述べさせていただきます。研究所としてJustGivingで寄付を募る活動を始めたのはちょうど1年前のことです。本当に多くのご支援をいただきありがとうございました」と感謝を述べた。
「研究所が募金活動を始めた一番の理由は、少しでも早くiPS細胞の研究を進め、患者さんの元に治療薬をお届けしたいという思いからでした。山中教授の京都マラソンの完走や、ノーベル医学・生理学賞の受賞などにより、この1年で本当に多くのご支援とそしてコメントをいただきました。みなさんの期待がたくさん込められているコメントに、とても感動しました」
研究所には現在約200人の研究員が在籍。だが、そのほとんどが非正規雇用という。国からの支援が受けられるのは約3~5年。研究員の雇用状況は不安定な状態だ。今後、同研究所では独自のファンドレイザーを設置し、雇用安定化を目指すという。
以下、各賞を受賞した個人・団体と代表者による受賞コメント。
東日本大震災支援に活躍したNPOに贈られる「特別賞」
公益社団法人 シビックフォース
災害支援のプロフェッショナルとして、大規模災害時に効果的な支援を行なうためのNPO/NGO、企業、政府、行政の連携組織であるシビックフォース。東日本大震災復興支援のために、JustGiving上で集まった寄付金の総額がなんと6億7000万円にのぼった。今尚、継続的に支援を行なっている同団体の活動が讃えられた。「震災支援のご協力についてはJustGivingを通じて4519件のチャレンジが行なわれ、またこのチャレンジに応えて支援していただいた方が53,888人もいらっしゃいます。本当に多くの人に支援していただいています。全国の支援者の皆さんに改めて感謝します」とシビックフォース 事務局長 根木佳織氏。
日本の寄付文化発展に貢献した個人に贈られる「功労賞」
NPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹氏
病児保育事業などを行なうフローレンスは昨年12月7日より、東京都の認定を受けた「認定NPO法人」となった。フローレンスではひとり親家庭支援を行なっており、この認定により寄付者は寄付金控除、税の優遇措置(減税)を受けることが可能になった。駒崎弘樹・NPO法人フローレンス代表理事は、「今回このような栄誉ある賞をいただけたのは、我々も貢献させていただいた寄付税制改革について認めていただいたのだと思います。昨年日本の寄付の税制ががらりと変わりました。みなさんが寄付した額の約半額が戻ってくるという、アメリカやイギリスにも勝る税額控除制度を手に入れたのです。世界一の寄付大国になれる可能性があります。この社会を一歩でも二歩でも良くできるよう、ともに頑張りましょう」と熱い思いを会場にぶつけた。
企業とNPOがコラボレートし、寄付を集めた成功事例である「ベストパートナーシップ賞」
オルビス株式会社/NPO法人オンザロード
東日本大震災に際し、ボランティアビレッジを設立するなど、ボランティア活動を行なう人たちの環境整備にも尽力してきたNPO法人オンザロードを、オルビスが支援する形でのコラボレーションが実現した。
「ポーラオルビスグループでは、何か震災の支援が出来ないかと考えていたところご縁があってオンザロードさんに支援させていただいております。被災地の皆さんの日常を取り戻す活動として、これからも支援活動を続けていきたいと思います」とオルビス経営管理部長の橋本祥永氏。
オンザロード理事 事務局長 伊地知亮氏は、被災地の状況、支援活動についてコメントした。「オンザロードでは、震災以降石巻市にのべ15,000人のボランティアを派遣しています。活動内容としては、自分たちが何をしたいかではなく、被災地で何が求められているか、きちんとニーズに応えられる復興支援活動を念頭に置いています。オルビスさんとは震災からしばらくたってからご縁がありご支援いただいています。復興にはまだまだ継続的な支援が必要なので、これからも現地のニーズの変化に対応しながら、活動を続けていきたいと思います」。
2012年最も募金活動で活躍した個人や団体に贈られる「ベストファンドレイザー賞」
一般社団法人日本サッカー協会(JPFA)
日本サッカー協会は東日本大震災を受けた2011年末「クリスマス・チャリティサッカー」を企画し、全国のサッカーファンに向けた募金活動の結果、24,899,100円という多額の寄付をJustGivingを通じて集めた。現在も被災地でサッカー教室を定期的に開催するなど活動を行なっている。受賞式には、前コンサドーレ札幌DF岡山一成選手が登壇し、喜びを語った。「サッカーの力とは本当にサポーターに支えられているものです。このチャリティマッチを開く上で、僕たち選手会が真っ先に頼ったのがサポーターでした。この企画に賛同してくれたサポーターの思いをJリーガー一人ひとりが大切に受け止めています。またこの活動の一環で、僕は「夢先生」として、子どもと夢について語り合う活動もしています。その中の1人の子が、大工さんになって壊れた家を自分の手で直したいと目に涙を溜めて教えてくれました。復興というのは、こうした子どもたちが夢をかなえようとする年齢になるまで続くと思います。僕もサッカーの力を信じてひとりでも多くの人にこの思いを伝えていきたいと思います」。
古田敦也氏のチャレンジ宣言2013はどの団体に!?
アワードの後半では、古田敦也氏による2013年のチャレンジ宣言が行なわれた。マラソンやトライアスロンなど、JustGivingを通じて様々な挑戦をし続けている古田氏だが、今年はどんな団体を支援するのだろうか。今回候補になったのは、子どもたちの放課後活動を支援する「放課後アフタースクール」、被災地の子どもたちに塾や習い事に使うことができるバウチャーを届ける「一般法人財団チャンス・フォー・チルドレン」、立命館大学交友会による「未来人材育成会」の3つの団体。それぞれ2分30秒のプレゼンテーションを行ない、古田氏が審査をした。「正直申し上げて、まず(古田氏の母校である)立命館大学は今回はなしということで(笑)。まぁ、結果的に3つとも今後コミットすることになるかと思いますが……。今回は放課後アフタースクールさんを支援させていただきます。今年もいろんな形でチャレンジしていくなかで、放課後アフタースクールの活動を支援していけたらと思います。今後メディアなどでもお伝えしていきますので、ぜひみなさん応援宜しくお願い致します」。
こうして、JustGiving Award 2013は大盛況のうちに幕を閉じた。チャレンジをし続けるNPO団体、そしてそれをサポートする企業。多くの人々が、この1年の活動内容をシェアし、互いを労うのと同時に、今後の目標に向かって改めて思いを強くしたことだろう。
一般財団法人ジャスト・ギビング・ジャパン
http://www.justgiving.jp/
Text:Faust A.G.
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