ウルトラ・マラソン・マン、地球の果てから果てへ
20,000キロ超の究極マラソン達成!
約9か月間、1日平均80キロを1日も休まず毎日。一歩一歩の積み重ねで地球の果てから、もうひとつの果てへ。人類で初めて北極から南極にかけて20,000キロ超のマラソンを成し遂げた男がいる。ウルトラ・マラソン・マンことパット・ファーマー氏だ。
From Faust A.G. Channel on [YouTube]
1日平均80キロと言えば、1日にマラソンを2回行うことに匹敵する距離。パット氏のこの歴史に残る壮大な耐久マラソンPole to Pole Runがスタートを切ったのは、昨年4月6日のことだ。地球の最北端、北極点を出発すると、カナダ、アメリカ、メキシコ、パナマ、ペルー、チリなど、14か国を駆け抜けた。ぜひ世界地図を広げてみてほしい。当然のことながら道は平坦ではない。毎日が自然との戦いであり、自分への挑戦の連続だった。
元政治家という経歴を持つ、オーストラリア出身のパット氏は、1984年にウルトラ・マラソン(一般的には100kmのマラソン)を始めて以来、28年のマラソン・キャリアを持っている。1993年にはトランス・アメリカ・フットレース(ロサンゼルスからニューヨークまで4700kmを64日間で走る超長距離マラソン)で2位に輝き、1995年には同レースで疲労骨折しながらも4位入賞を果たす不屈のアスリートだ。1999年にはオーストラリア1周(約15,000キロ)を191日で走るという記録のほか、数々の国際記録を樹立している。
そんな男にとっても北極から南極ともなれば、最長かつ最も壮烈な挑戦だ。マイナス40度の極地で猛吹雪にさらされ、氷の張った水の中を泳ぎ、灼熱の砂漠では道に迷うこともあった。ホッキョクグマや蛇、クロコダイルのほか、武装集団に遭遇したり、間一髪で暴走トラックにひかれずに逃れ、九死に一生を得たこともあった。パナマからコロンビアにかかる、ドラッグや銃の密売人などが潜む危険地帯、ダリエン・ジャングルでは、護衛兵が付き添いながら走るなど、常に危険と恐怖がつきまとった。脱水症状や疲労による足の痛み、怪我に見舞われ、体にかかる負担は並大抵のものではなかった。想像を絶する苦行を乗り越え、ついに南極点に到達したのは、出発から9か月経った1月19日だった。「今回のマラソン体験は、僕の体に一生残るだろう。途中、走ることを止めてしまおうという考えが何度も頭をよぎったが、そんな思いをはねのけてここにたどり着いた。すべての瞬間に、価値がある」と、この壮絶な旅を振り返る。
安全な水を世界中の人に
この挑戦Pole to Pole Runは、国際赤十字社(the International Red Cross)の「安全な飲み水と衛生向上プロジェクト」への寄付を募る目的で行われた。国際赤十字によると、9億人弱の人々が安全な水にアクセスできず、5秒に1人が命を落としているという。不衛生な水環境は、マラリアなどの命を脅かす病気にも発展してしまうのだ。南極点に到達したパット氏は、「僕は今回のマラソンで、多くのことに耐えてきた。しかし、アフリカや東ティモール、南米の人々は、安全な水に恵まれず、洪水や地震、火災、飢饉に耐えているんだ」と、途上国を取り巻く状況を思いやった。
社会への貢献の仕方は、人によって千差万別。知識や技術を持って貢献することもできれば、お金や物資を寄付する形もある。この男の場合、それは走ることだった。「長距離を走ることは僕に与えられた才能であり、貢献の仕方なんだ。今回世界中から寄せられたこの寄付は、多くの命を救うだろう」。南極点到達後、南米チリからアルゼンチンまで走ると、2月19日に自宅のあるシドニーへ向けて飛行機で帰路につき、20,919キロにおよんだPole to Pole Runが終わった。帰国後、地元でのインタビューに答え、「どれくらいの寄付が集まったか、はっきりとした金額はわからないが、目標としていた額には達していない。でも諦めてはいない。またまだ頑張るつもりだ」と、更なる冒険を誓った。世界中に安全な飲み水を届け、衛生面を向上させるため、パット氏の挑戦はこれからも続く。
Pole to Pole Run
http://poletopolerun.com/
Australian Red Cross
http://www.redcross.org.au/
Text: Chiaki Nishimura
Photos&Video: Pole to Pole run
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