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世界の水問題と貧困に立ち向かう
宇宙からピエロがメッセージ!

1982年にカナダで創設され、いまやカナダが世界に誇るサーカス団となった「シルク・ドゥ・ソレイユ」。演劇やダンスを取り入れた、光と音によるパフォーマンスという独自の世界を築き上げ、25年以上にわたって世界中で感動と驚きを与え続けています。日本国内でも、『ZED』をはじめ『アレグリア』や『コルテオ』などの演目をご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

この「シルク・ドゥ・ソレイユ」の創立者であるギィ・ラリベルテ氏が10月、今度は宇宙を舞台に驚きを見せてくれました。ラリベルテ氏は9月30日、2人の宇宙飛行士とともにロシアのソユーズ宇宙船に乗りこみ、10月11日までの宇宙旅行に出発。10月3日にソユーズが国際宇宙ステーションとドッキングすると、ラリベルテ氏は赤鼻のピエロに扮して、無重力の宇宙空間をふわふわと浮かびながらおどけてみせたのです。彼は、民間宇宙旅行者としては世界で7人目。この旅行のための費用は3500万ドル(約32億円)だったといわれています。

上段:訓練中のラリベルテ氏。下段左:「シルク・ドゥ・ソレイユ」創立者ギィ・ラリベルテ氏。カナダ国民最高の栄誉であるカナダ勲章を受賞し、『タイム』誌の世界で最も影響力のある100人の1人にも選出されている。彼のポロシャツの右腕には「ワン・ドロップ」のロゴが。下段右:ラリベルテ氏を乗せたソユーズ宇宙船。

実はこの宇宙の旅は、彼自身が2007年に創設した人道支援財団「ワン・ドロップOne Drop」が主催するイベントの一環。飲料水を確保することによって貧困問題の改善をめざすことが目的で、彼は芸術や文化イベントを通して啓蒙活動を行っているのです。

そんなラリベルテ氏は宇宙滞在中の10月9日に、モントリオールやニューヨーク、パリ、ヨハネスブルク、東京など世界14都市を、国際宇宙ステーションとテレビやインターネットで結んで、「水のために 大地から宇宙へ」と題したイベントを開催しました。グリニッジ標準時の20時から世界各地でいっせいに、2時間にわたってアーティストたちがコンサートやパフォーマンスを披露。参加者の顔ぶれも、彼の交友の広さを示すかのように、アメリカの元副大統領のアル・ゴア氏、ロックミュージシャンのU2、ボリショイ劇場バレエ団など、そうそうたるもの。東京では黒柳徹子さんや石井竜也氏が参加しました。宇宙船から参加したラリベルテ氏も、カナダ人宇宙飛行士のジュリー・パイエットさんとともに水に関する問題を対談。ラリベルテ氏やゴア氏のメッセージ、イベントの様子は、「ワン・ドロップ」のホームページで見ることができます。

“宇宙から発信する、初の芸術・社会的イベント”と胸を張るラリベルテ氏は今回のことについて、「25年以上にわたる地上での旅で、私は素晴らしい人々に出会うことができました。今回のイベントのために、友人たちが声や才能を貸してくれたことに大変感激しています。彼らは水問題に関する考えを私と共有してくれていると同時に、情熱によって人々を結びつけることができる芸術を通して、世界共通のメッセージを発信することができるという私の考えに、共感してくれているのです」と語っていました。

「シルク・ドゥ・ソレイユ」とは、太陽のサーカスのこと。命をはぐくみ育てる、太陽と水のために、世界を、そして宇宙を旅するラリベルテ氏。ユーモアたっぷりのピエロ姿で、宇宙から地球を眺めながら環境メッセージを送るなんて、スケールの大きいイベントは、誰にもできるものではありません。フランス語で「自由」を意味する名を持って生まれたラリベルテ氏らしく、これからもますます自由奔放な活動を企画してくれることを期待しましょう。

Data

One Drop

公式サイト http://premium.onedrop.org/

Cirque du Soleil

公式サイト http://www.brickstructures.com/

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