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歴史上最も複雑なタイムピースが物語る
天才時計師の新たな挑戦と野望
 

今や9ブランドを擁するビッグメゾンへ成長したフランク・ミュラー・マニュファクチュールの新作が一堂に介す、「W.P.H.H(世界高級腕時計展)」。12周年を迎える今年は、モナコへ初進出し、モンテカルロ・ベイ・ホテルの一角に特設会場が設置された。名門オテル・ドゥ・パリの〝インペリアル会場〟(写真)では、ガラ・パーティも開催され、華やかな宴に酔いしれる300人の紳士淑女の前で、話題作「エテルニタス・メガ4」の販売第1号モデルが、購入者に手渡された。 「エテルニタス・メガ4」は、2006年に発表された「エテルニタス」を進化させ、世界最多となる36のコンプリケーションを実現した意欲作。1000年カレンダーの他、スプリットセカンド・クロノグラフ、トゥールビヨンなどの複雑機構を搭載し、4日間のパワーリザーブを搭載するなど実用性も確保。ケースはプラチナ製で、納期は3年。ケース縦55.5mm×横39.5mm。クロコダイルベルト。自動巻き。毎時2万8800振動。

 さる11月、地中海を望むモナコのとある高級ホテルで、機械式時計史におけるエポックメイキングな出来事がありました。「フランク・ミュラー」の新作が一堂に会する「W.P.H.H.(世界高級腕時計展)」と、同社主催のガラ・パーティが開催され、歴史的なタイムピースがお披露目されたのです。

同社を率いるフランク・ミュラー氏といえば、天才という呼び名を与えられた数少ない時計師のひとり。彼の工房で作られる時計の裏蓋には「Master of Complications(複雑時計の巨匠)」という文言が刻み込まれていることで有名ですが、フランク・ミュラー氏が時計史にもたらした功績をひも解けば、その言葉に相応しい名作がずらり。とりわけトゥールビヨンと呼ばれる複雑機構を進化させ続けてきた技術力とアイデアには、傑出したものがあります。ご存知の通り、トゥールビヨンとは地球の重力の影響で生じる時刻の誤差を補正する機構ですが、実は1800年代に開発されて以来、氏の登場まではほとんど進化しませんでした。なぜなら当初のトゥールビヨンは懐中時計用の機構であり、腕時計に用いるにはパーツ類を大幅にダウンサイジングする必要があったからです。こうしたハードルを乗り越えて腕時計への搭載を実現した上、世界初となる斬新な複雑機構を30以上も生み出してきたのが他ならぬフランク・ミュラー氏であり、今なおトゥールビヨンの技術革新に挑む手綱を緩めてはいないのです。

歴史上最も複雑な腕時計

 冒頭で触れた歴史的なタイムピースとは、そんなフランク・ミュラー氏の健在ぶりを物語る名作たち。まず出席者の話題をさらったのが「エテルニタス・メガ4」と呼ばれるモデル。なぜならこのタイムピースは、36種ものコンプリケショーンを搭載した、歴史上最も複雑と言える腕時計なのです。代表的なコンプリケーションの一部を見てみると、1000年間調整不要の超絶エターナル・カレンダー、ムーンフェイズ、スプリットセコンド・クロノグラフ、グランドソヌリ&プチソヌリなど、一個の機械式時計に搭載する機構としては、驚愕すべき多彩さ。しかも、ケースサイドにこれだけのコンプリケーション各機能の調整を行う11個のボタンを装備するなど、実用性の追求においても抜かりありません。

聞けば、モナコの会場には、販売第1号を受け取るために有名時計コレクターであるマイケル・J・グールド氏が、プライペートジェットでアメリカから駆けつけたとのこと。業界での評価の高さを物語るエピソードのひとつといえるでしょう。そして気になる価格ですが……残念ながら非公表となっております。

もうひとつの名作は、9月にシンガポールで開催されたF1グランプリを讃えるために製作された「コンキスタドール クロノグラフ グランプリ 2009」。伝統的なトノウ型のケースをスポーツウォッチへと昇華したデザインワークの秀逸さもさることながら、素材においてもフランク・ミュラー氏の持ち味である革新性が表れています。

F1マシンや航空機に用いられるエルガという高耐久性素材を採用した上で、〝陽極酸化処理〟という特殊処理を施すことで摩擦や摩耗に対する強度を飛躍的に高めているのです。ここ数年の機械式時計の世界では、機械式スポーツウォッチの耐久性向上が至上命題のひとつとされ、ハイテク素材を腕時計に最適化する試みが盛んに行われています。今回の高耐久性素材の導入は、トゥールビヨンの進化を牽引し続けてきたフランク・ミュラー氏が、こうしたスポーツウォッチの分野の発展をも担うべく新たな一歩を踏み出した、記念すべき出来事といえるでしょう。


そういえば、偉大な発明品を多数生み出した天才、トーマス・エジソンは生前、こんなことを言っていたようです。
「ほとんどの人は、もうこれ以上アイデアを考えるのは不可能だというところまで行きつき、そこでやる気をなくしてしまう。いよいよこれからだというところでね……」
斬新なアイデアによって20年以上もトゥールビヨンの進化を担い続け、新たな分野へ果敢に挑んでいく……。挑戦の手綱を緩めることのないミュラー氏は、同じく“天才”エジソンが言うところの〝ほとんどの人〟の範疇に収まらず、これからも後世に残るタイムピースを生み出していくことでしょう。

左写真:伝統的なトノウ・カーベックスの個性的な表情はそのままに、航空機などに用いられるエルガという素材で耐久性を向上させた「コンキスタドール クロノグラフ グランプリ 2009」。文字盤は、焼き付けたシルバーを用いたインデックスやスーパーミノルヴァ仕様のレリーフを配し、エレガントかつ男らしい印象に仕上げた。ケース裏に〝シンガポールグランプリ2009〟の刻印あり。ケースはチタンとエルガ製。ケース縦62.7mm×横48mm。クロコダイルベルト。自動巻き。毎時2万8800振動。価格未定

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問い合わせ先: ワールド通商
TEL.03-3549-3011
http://www.franckmuller-japan.com/

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