スポンサーや新聞社、スポーツ誌の記者などが見守る中、ゆっくりと姿を現したソーラーパネルとその本体。ルール変更により、2008年東海大学チームとして参加したマシンより4分の3の太陽光パネルの装着面積となったが、変換効率22.6％という世界最高技術を誇る東芝のソーラーパネルがどんな働きをみせてくれるのか。このテストランの見どころでもある。着々と車体は組み立てられ、走行準備が整う頃にはすっかり雲も晴れ、青空が広がっていった。

リニューアル後の篠塚カーのお披露目！

会場となったのは山梨県甲斐市内にある日本航空高等学校。完成したばかりのレースカーを、この施設内にある約800mの滑走路を使って走行しながら、実際の走りやマシンの状態などをチェックした。まずは、ドライバー兼エンジニアを務める大嶋建一がドライブ。滑るように静かに走り始めると、次第に速度を上げていく。数回往復を繰り返し、次は篠塚による試運転。やはり順調に走行し、最高時速115kmを記録するという手応え十分のテスト走行となった。また、ソーラーパネルは1300Wという高い発電量を記録し、ソーラー・チャレンジ、ギネス記録の挑戦へ期待をつなげた。このテストランでのフィードバックをふまえて最終調整が施されたソーラーカーは、すでに清水港を経ち、現在南アフリカ・プレトリアへの旅の途中だ。

鈴鹿サーキットで感触をつかんだ
チーム初のテストラン

一方、ソーラーカーチーム篠塚として初のテストランは、6月4日鈴鹿サーキットで行なわれた。先に述べたマシンとは異なり、8月3、4日に開催される「ソーラーカーレース鈴鹿2012」で使用するオリンピアクラスのソーラーカーだ。オリンピアクラスはFIA認定の世界選手権であり、より実用的で持続可能なソーラーカーの研究を促進する目的で、4輪という車両規則を設けている。
テストランでは、篠塚ほか鈴鹿でのパートナードライバーの堀主知ロバート、南アフリカを走る大嶋が交代で運転し、感触を掴んでいった。このとき使用したソーラーカーはまだ昨年仕様のもので、今回のテストランをふまえた最終調整のほか、ソーラーパネル、ステッカーなどが一新された最新版で本戦に臨むことになる。

そして、この記事がアップされる8月2日の翌日、ソーラーカーチーム篠塚は鈴鹿にいる。狙うはソーラーカーレース鈴鹿2012で「FIA ALTERNATIVE ENERGIES CUP」の獲得。即ちFIA認定、オリンピアクラスのソーラーカーでの世界一の称号だ。チームの活躍を楽しみにしたい。

Text&Phots:Faust A.G.
2012/08/02