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1本の万年筆がはるか中世へ誘う
ビスコンティの新作“テンプル騎士団”

 パソコンやケータイが普及し、文字は「書く」から「打つ」に変わりました。そのため日常で万年筆を使う機会は、ほとんどなくなってしまったのではないでしょうか。少し前までは、子どもが中学や高校に入学した記念に、親や親戚からプレゼントされる“大人を象徴するアイテム”であり、そのような思い出のある方もいらっしゃることでしょう。


ボディ素材はレジン、インク充填方式は自社開発のパワーフィラー、ペン先は23K、¥294,000(税込)。発売中。

清貧の精神および騎士にして修道士という二重性を象徴する2人の騎士が描かれ たテンプル騎士団の紋章。「THE NIGHT TEMPLER」には、この絵柄と同様のスタ ンプが付属されている。

しかし、そんなデジタルな時代であるにも関わらず、万年筆は密かに注目を浴びてきています。腕時計が必需品から嗜好品となり、多くの人を惹き付けているように、万年筆に惹かれる人も増えています。デジタル化が進めば進むほどアナログへの憧憬が強くなるのは、人間がもつ自然なバランス感覚なのかもしれません。
そうした嗜好品としての万年筆は、デザインや素材にこだわった高級品が多いのですが、ここでご紹介するビスコンティの新作「THE KNIGHTS TEMPLAR(テンプル騎士団)」は、“想像力”を刺激してくれる希有な一本です。

現代人がテンプル騎士団に抱く思いは
リスペクトか?ミステリーか?


テンプル騎士団は、キリスト教信者が聖地エルサレムへの巡礼の安全を確保するため、12世紀の十字軍の時代に結成された騎士修道士たちの組織。彼らは現在の銀行システムの基盤を作るなど、ヨーロッパの経済と文化に寄与したと伝えられ、真の献身的な愛と信仰心のシンボルと捉える人も少なくありません。
しかし、実はテンプル騎士団の任務は巡礼者の保護ではなく、キリストの聖杯を探すこと……いや、聖杯を探し出し莫大な冨を手に入れて金融システムを作ったなど、さまざまな説があり、映画や小説の恰好の題材にもなっています。映画ひとつとっても、『トレジャーハンター テンプル騎士団の財宝』『テンプル騎士団 聖杯の伝説』『テンプル騎士団 失われた聖櫃〈アーク〉』など数多くありますが、中でもいちばん話題になったのは『ダ・ヴィンチ・コード』。このベストセラー小説では、キリストの聖杯とは、最後の晩餐に使われた杯ではなく、実はキリストの末裔のことで、テンプル騎士団はこれを保護するための組織だったという推論で話が進んでいきます。真偽のほどはともかく、諸説渦巻くほどヨーロッパの人々の関心が強いことを物語っています。
「THE NIGHT TEMPLAR」の万年筆を製作したビスコンティは、1988年に2人の万年筆コレクターによって設立された比較的歴史の新しいメーカー。フィレンツェに残る13世紀のメディチ家の別荘に拠点を構えており、1920〜1950年代の万年筆黄金時代の再現をテーマにしています。
単にデザインの復刻だけでなく、1930年代のセルロイドなど現代では忘れられていた古い素材の生産から始め、昔ながらの手法――完全ハンドメンド――で1本1本作り上げています。ただし、ただの懐古趣味ではなく、パワーフィラーというカートリッジインク6本分の容量を可能にしたインクの吸入方式を開発し、実用面でも優れた万年筆作りを続けているのです。
この「THE NIGHT TEMLAR」のボディ部には、かつてテンプル騎士団が身に纏っていた衣服に施されていた白地に赤十字のデザインが施されています。また、鋼鉄をイメージした金属の縁取り細工は、彼らが修道士であると同時に騎士であったという事実からインスパイアされているそう。

世界312本限定というこの「THE KNIGHTS TEMPLAR」を手にすると、はるか昔の中世十字軍の時代に誘われるような気がします。1本の万年筆から想像力が広がる、それがビスコンティの「THE KNIGHTS TEMPLAR」なのです。

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お問い合わせ:DKSHジャパン TEL.03-5441-4515
http://www.boq.jp/hp/visconti/

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