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大人の遊び心を呼び覚ませ！
アバンギャルドな店主のテーラーへ
LOUD GARDEN

店主の岡田。

東京・南青山に、遊び心が詰まった隠れ家的テーラーが誕生した。「LOUD GARDEN(ラウドガーデン)」は、ファッション好きが足しげく通った代官山の某店を解散、自身の理想を体現するために岡田亮二が今年6月に開いたテーラーだ。
「前の店の時から、ピッティ・ウオモ※などに個人名を冠したブランドを出品していたのですが、僕の作品に各国のバイヤーやジャーナリストが目をつけてくれたりして。手ごたえは感じていたので、いつか独自のアバンギャルドなスタイルで店をやりたいと思っていたのです。そして勝負をするならテーラーしか僕にはなかった」

“エキサイティングなカルチャーの交差点を”と表現する店内は、一見、“注文紳士服専門店”であるテーラーとは思えない空間だ。BGMは基本ロックンロールやブルース。壁にはHEATWAVE 、HOTHOUSE FLOWERS、THE POGUESなどなど、ロックとブルースほか、ヘヴィメタルやアフリカンミュージックまで無数の音楽LP、CDが山積み、いたるところにフィギュアや雑貨が混在し、スクリーンにはJIM JARMUSCH、COEN BROTHERSといったスタイリッシュで尖った映像作家の映画や音楽映画が投影されている。聞けば岡田の私物だというシロモノで溢れかえる中に、スーツやジャケットのサンプル、バンチブック(生地見本)、靴やカフスといったメンズアイテムが陳列されている。
「1960年代のモッズしかり、ファッションは常にカルチャーの一部でした。ファッションは服だけでは始まらないし完結しません。また、注文服とは、例え英国伝統のサヴィルロウでトラディショナルなスーツを作るにしたって、元来エキサイティングで、自由な感性でオーダーできるもの。天気、その時の気分、お店の雰囲気や音楽、恋人や子どものことなど、オーダーはその時の心境に左右されてしかるべきで、それでこそ自分にベストな注文服ができる。だからここにはエモーショナルなカルチャーに関わるモノがあふれているんです、お客様の感性を刺激するためにね」
感性をくすぐり、引き出したお客の発想を受け止めるのは、岡田の最も得意とするところだ。注文紳士服に携わり続けて約20年の裏打ちと、陳列されたジャケットやスーツなどこれまで積み重ねてきたバリエーション豊かなサンプル、日本ではここにしかないという英国ヴィンテージ生地など国内外から取りそろえた無数のバンチブックを駆使し、お客の感性を紳士服という形に仕上げていく。製造を依頼するのは、もちろん自ら足を運んで探した信頼のおける国内某地の工房だ。
「一度、ネクタイでもシャツでもなんでも仕立てに来てみてください。これまでは思いもよらなかったオーダーが生まれると思います」
貴方の遊び心あるファッションセンスを引き出してみせましょう――そう語りかけるような岡田の笑顔からは、できあがった注文服に袖を通した時の、お客の喜ぶ姿が好きでたまらない、といった無邪気な思いが伝わってくる。

また、ラウドガーデンにはもう一つの顔がある。岡田を慕う、情熱と才能を併せ持った若きクリエイターたちが作る服や靴といった「作品」。お金もコネも持たない彼らの作品を展示・販売する機会を提供しているのだ。
「決して偉ぶっているわけじゃないんですけどね。ただ、僕も若いころは当時の会社の社長に好き勝手にやらしてもらったり、いろいろ運に恵まれたおかげで今がある。その恩は社長に返すのではなく、同じように次の世代へ還元することが本当の恩返しだと思うんです。また、ラウドガーデンのお客様は、クリエイティブなお仕事をしている方ばかりのせいか、そういう作品に理解があるんです。ブランド名だけではない、ファッションへの情熱や若いセンスを楽しんでくれる懐がある。フェイスブックじゃないですが、今はシンパシーとシェアの時代ですしね、これもうちの大切なスタイルの一つです」

奇才の岡田が構えたテーラー。注文服という紳士の冒険を体感しに、ラウドガーデンのドアを開けてみてはいかがだろう。

※ピッティ・ウオモ…イタリア・フィレツェで毎年夏と冬に開催されるメンズファッションの大展示会。毎回1,000を超えるブランドが出展する。