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INTERVIEW with FAUST Hideumi Hayashi
グッド・ラックはポジティブじゃないとやってこないよ

5日間のレースから一夜明けた週末。トーナメントに出場したアングラーたちは、受賞式をかねたディナー・パーティに集っていた。チームごとに円卓を囲む男たちは、勝者とそうでないものの悲喜こもごもを胸に秘めながらも、今年もこの栄えあるトーナメントに出場できた感動で高揚気味だった。そんな華やかな宴の中、林の姿を見つけたメフィスト。彼にとってはそれがどんな5日間だったのか、問いを投げかけてみた。
 

自分がどんなに道具や腕を磨いても、いい結果が出るとは限らない

Mephisto(以下M) : 今回のハワイ・インターナショナル・ビル・フィッシュ・トーナメント(以下HIBT)はいかがでしたか?

Faust(以下F) :正直なところ残念、というのが一番の感想です。昨年初出場で成績がよかっただけに、よけいそう感じるのかもしれないですが、今年はやはり当たりが少なかった。他の船ではけっこうあがってるので、やっぱり悔しいですね。


M:ゲーム終了時は、意外にも、チームの皆さん全員が平静というか、普通に朗らかにしているように見受けたのですが。でもやはり心中は穏やかならざるものがあったということでしょうか。

F:それはやっぱりね。トーナメントに出るってことは、勝負しにいっているわけだから、いい成績を出したいですよね。でも悔しがっても仕様がない。ビル・フィッシングは他のスポーツとちょっと違うんです。自分がどんなにがんばって道具や腕に磨きをかけても、必ずいい結果がだせるとは限らない。相手は自然の生き物だし、同じ条件でも魚がかかる時とかからない時がある。ありていに言えば、半分は運ですよね。ボート・キャプテンのカンや操船技術も大切な要素だけど、HIBTのように抽選で船を割り当てる場合は、それもまた運ですしね。

M:自分がいくら切磋琢磨してもそれだけでは結果がでない、コントロールできない要素が多分にあるということですよね。とりわけトーナメントとなると、その状況にフラストレーションがたまることはないのですか?

F:うーん、そうだなあ…。日本の大会だとけっこう他の船が釣れて自分たちがダメだと皆イライラしちゃうというか焦っちゃうようなムードになるんですよね、実は。でもこのトーナメントではそんな雰囲気にならない。経験豊富なアングラーが集まってるせいかな。皆どーんと構えて、とにかく楽しんでる。実際のところ、焦ったって釣れるわけじゃないですからね。それから、ハワイの海が穏やかで明るいのも、気持ちに大きく作用してると思うな。日本の海はもっと荒々しい感じだから、釣る方も悲壮感が増すというか(笑)。

M:HIBTのことは昨年参加される以前からよくご存知だった?

F:それはもう。歴史は長いし、ビル・フィッシャーにとっては憧れのトーナメントですから。いつかは自分のチームを率いて出場したいというのがカジキ釣り始めて以来の夢でした。それが去年、偶然ヒルトン・グランドバケーション・チームのメンバー募集を見つけてトントン拍子に話が進んだ。こんなに早く出場できるようになるとは思ってもいなかったので、決まった時には夜も眠れないくらい興奮しちゃいましたよ(笑)。実は、日本でカジキ釣りをする時は、僕はアングラーはやらないんです。自分の船でチームを率いているので、僕はもっぱら操船と司令塔役。それはそれで性分にあっているし好きなんですが、やっぱりビル・フィッシャーとしてはアングラーが一番楽しい。HIBTに参加すればアングラーができるのも大きな魅力でした。

ヒットした瞬間! 体中の血がたぎる

M:ビル・フィッシングを始めたきっかけはなんだったのですか?

F:育ったのが横須賀で、子供の時から海が身近だったんです。だから自然と海が遊び場だった。素潜りや磯釣りなんていうのは日常的な遊びだったし、スキューバや水上スキーなど、ウォータースポーツならなんでも試してきました。

ビル・フィッシングを始めたのは5年前ぐらいです。知り合いからその面白さを聞かされて、とりあえず道具を一式揃えて海に出た。その時すでにボートは持っていたんです。で、せっかくだから試してみようというぐらいの気持ちで、予備知識もなにもなくて。今考えたら無謀でした(笑)。でもトローリングを始めてほんの30分ぐらいで最初の獲物がかかっちゃった。ブルー・マーリンでした。しかも280ポンド(約130kg)ぐらい、けっこう大物だったんです。自分で言うのもなんですが、すごいビギナーズ・ラックですよね(笑)。それでもうすっかりハマっちゃったんです。

M:ビル・フィッシングの魅力ってなんでしょう?

F:ヒットしたその瞬間! 僕にとっては、もうこの一言に尽きます。一気にアドレナリンが出て、体中の血がたぎる感じ。その高揚感がたまらない。そこから獲物の姿が見えるまで、もう本当に無我夢中というか、ものすごくピンポイントで獲物に集中する。それは他ではあまり出来ない体験かもしれません。それと獲物が掛かったら竿を握るのはひとりのアングラーの責任なんですが、実はビル・フィッシングはチームプレイだともいえるんです。船長は、獲物が上がってきやすいようにボートを操作する。チームメイトは、他のラインが引っかからないように巻き取ったり、獲物が船縁まで来たらタグを打ったり、引き上げたり。だからいいチーム・ワークが組めた時の連帯感もすごく気持ちいい。ビル・フィッシャーに大切な要素は、身体的にもメンタルも元気なことなんですよね。船に乗っている時間は長くて次第に疲れてくるし、当たりがない時だってある。そんな時こそチーム全体のムードをいい方向に引っ張っていけるエネルギーがある人というか。もちろん獲物とバトルする体力も必要だしね。それにね、グッド・ラックはポジティブじゃないとやってこないよ。

M:来年も7月にHIBTは開催される予定ですね。またコナの海に戻って来る?

F:もちろん、そのつもりです!気分を新たにしてチャレンジしますよ。幸運を呼び込むように今から気力・体力に磨きを賭けて挑みますから、期待して見ていてください(笑)。

 

 

  • ◎「海を切り裂く巨大魚を釣れ!」STORY[前編]はコチラ
  • ◎「海を切り裂く巨大魚を釣れ!」STORY[後編]はコチラ

 

 

Faust Profile

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林秀海

1964年生まれ。実業家。高校時代に建築施工会社を創業。持ち前の先見性と熱血で若くして起業し、現在はふたつの企業を経営。幼少の頃より海に親しみ、幅広くマリン・スポーツをこなす。中でもビル・フィッシングは、横須賀のヨットハーバーに自艇を保有して、毎週末のように出かける入れ込みぶり。子供4人、孫ひとりを持つファミリーマンでもある。

  • ◎「自分もハワイのコナ沖でビル・フィッシングに挑みたい!」 という挑戦者へ画像

Who is Mephisto ---メフィストとは

人生のすべてを知ろうとした、賢老人にして愚かな永遠の青年「ファウスト」(作:ゲーテ)。この物語でメフィストとはファウストを誘惑し、すべての望みを叶えようとする悪魔。当クラブ「Faust Adventurers' Guild」においては、Faustの夢と冒険の物語をサポートする案内人であり、彼らの変化や心の動きに寄り添う人物。時に頼れる執事、時に気の置けない友人のような存在は、『バットマン』におけるアルフレッド(マイケル・ケイン)、『ルパン三世』における不二子&次元&五右衛門トリオのようなものか? 今後、Mephistoは各クエストの終わりにFaustの皆さまの心を探りに参ります。どうぞよろしく。

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