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INTERVIEW with FAUST  Kunihiro Sakuragi
もっと大空へ!

「負けず嫌いで、なにごとも白黒はっきりつけるのが好き」というFaustに とって、戦闘機でトップガンは、最高にエキサイティングな舞台だ。クールを装ってはいても、胸の内には興奮と感動がとめどなく溢れてくる。たとえ彼が高所 恐怖症でも、それを忘れさせるほどの何かが、空にはあるのだ。

高所恐怖症のパイロット


Mephisto(以下M) 櫻木さんがこのクエストに参加したのはどんな理由だったんでしょう?

Faust(以下F) 最初の噂ではミグに乗るとか、爆撃するとかいろんな話が交錯していて、でも詳細は分からないけれど、とにかくそれを聞いた瞬間「すごく面白そうだから行きたいな」と思ったんです。
でも同時に、僕は実は高所恐怖症なんですよ。毎月のように海外と日本を行き来しているのに、今だに民間の飛行機に乗るのも嫌。怖いというより飛行機が「信用できない」んですよ。だから僕はいつも必ず窓際に座るんです。常に外を見ていないと落ち着かないというか、落ちるにしても、落ちるところを見ていればせめて受け身の姿勢でも取れるんじゃないか、と(笑)。そのくらい慎重な気持ちで飛行機に乗るし、高いところも大嫌いで。
けれど今回は、飛行機が怖いという気持ちより、トップガンファイトをやってみたいという気持ちが勝ったんですよね。こんな体験もなかなかできるものじゃないですし、僕はそもそも何かで競い合うことが大好きなので、「闘う」とか「撃ち落とす」とかいうフレーズにもう、盛り上がっちゃって(笑)。
最初は社交辞令というか、安請け合いというか、そんなの本当にやるのかなあという感じで返事をしたというところもありますね(笑)。ノリで「いいですねやりましょう!」なんて言ったものの、実際細かいことが決まってくると、まただんだん怖くなってきて「ヤバいなあ、やっぱり行かないことにしようかなあ」なんて思っていました。

実際に乗ってみていかがでしたか?

実際乗ると飛行機があんなに縦横無尽に、あんなに自由な動きをしても平気で動くものなんだということにすごく驚きがありました。だから本当にこのクエストの帰りから民間機が怖くなくなった。飛行機の凄さ、性能に信頼が持てたんですね。今回の経験で、逆に「飛行機って落ちないんじゃないか」と思うようになったくらい。今までは人任せで自分が操縦できなかったから嫌だったんですね。飛行機は無理な動きをしたら駄目なんじゃないかとも思っていた。でもあれだけ急降下、急上昇、右に左に行っても、それに機体が耐えられるということがわかって、「しっかりした整備さえしていれば、よっぽどのことがない限り大丈夫だろう」と思えるようになりました。

初めて飛行機を操縦した人がいきなり宙返りできるというのは凄いことですよね。

最初の説明で、「急旋回しすぎたらノックアウト、つまり機体がガタガタと震え始めるからその時は危険だから戻せ」と言われていたんだけれど、そのとおりになった。これ以上やっちゃいけないという境目がちゃんとわかる。無理をさせると飛行機がちゃんと悲鳴をあげて、それが操縦している人間にはわかるんだな、と。
運転している感覚がすごくありました。連隊の中で僕は先頭を飛んだのですが、戦闘空域に行くまでは皆は自分で運転していなかったんですよね。でも僕は離陸してすぐに教官に操縦桿を渡されて、帰りも飛行場の近くに行く寸前まで自分で操縦して、皆よりもより多く操縦することができた。空には道がないので最初は自分がまっすぐ走れているのかもわからなかったけれど、皆と並んで走ったら自分がまっすぐ飛んだり上がったり下がったりしているのもきっちりわかりましたし、こんなに微調整もできるんだと実感しましたね。

M 教官が「むむ、KUNIはデキるな」と見極めて運転を任せたのでしょうね。

教える人はみんなそうでしょうけれど、その気にさせられて(笑)。白い髭の教官、ネイルスさんが「上手い上手い、どんどんやれ!」って言うんですよね。帰って来てからもすっかりその気で、本当に飛行機の免許取ろうかなと思えるくらい(笑)。

映画『トップガン』には憧れがあったんですか?

F 『トップガン』はちょうど僕が高校1年くらいの時で、やはり「かっこいい!」と思いましたね。今回も誰かがDVDを持ってきていて、僕は乗った後から見たんですけど、運転の仕方など「なるほど」と思いましたね。次に行く方は、見たらイメトレになると思いますよ。

今回のクエストで何が最も心に残っているシーンですか?

ロックオンしたときですね。相手の姿をとらえ、それが照準に入り、打って、煙を出したときには、凄い感動がありました。「ああこれでおれも戦えるな」と(笑)。

普通に生活していたらそんなこと考える機会もないですからね。深いですね。

ハードに戦うか、ソフトに戦うか?


戦うまでと、戦っているとき、終わった後、どんな風に気持ちが変化していったのでしょう?

まずは、「未知の世界」でしたよね。やり方も飛ぶまで分からないし、どちらかというと怖いというのがあったじゃないですか。その時は勝負をする期待感よりも、「本当に落ちないかなあ。ブザーとかなってるし…大丈夫かなあこれ」という感じで勝負のことがあんまり頭になかったですね。
いざ飛んでみたら飛行機に感心して、操縦に対して感動して、「こんなのできちゃうもんなんだあ」ってワクワクしていた。急降下、急上昇して近づく、なんていう練習をして、もう、ただただ「凄い!」と思っている。そうこうしているうちに海まで来て、勝負の時間になる。教官の合図で一斉にスタートして、「とにかくやんなきゃ」と無我夢中になる。 
勝負にこだわっていながらあの時だけは本当に初物づくしで、あれよあれよという間に始まって、一回目は気がついたらもう打たれていた! 「え!?もうやってたの!?」と思ったくらいです。
最初、急降下急上昇で距離が縮まるという練習をしているときに気持ち悪くなってしまったんですよね。教官に「おい大丈夫か」なんて言われてビニールをもらったりしているうちに闘いが始まっていたみたいで、「上イケ上イケ!!」と言われているうちに打たれてしまった。そんなふうに結構あっけなく負けてしまって、そこで初めて「あ、クヤシイ!」と思ったんですよ。「これは気持ち悪いとか言ってる場合じゃないな」と。すると教官が気持ち悪そうな僕を見て「ハードかソフトか?」と聞くんです。戦いの仕方をもっとソフトにするかと。でも僕はそこで負けず嫌いが出て「俺は大丈夫だ、ハードでいいぜ」「OKわかった」って、そのままやることになったんです(笑)。

「ハードかソフトか」と言われて「じゃソフトで~」とは答えられませんよね、実際(笑)。

そうですそうです。後で、「ソフトにしてくれって言ってたらしい」なんてバレれたら恥ずかしいじゃないですか! 絶対言えないですよ。それに「とりあえず吐いてでも極限を体験したい」と思ったし、負けっぱなしでは帰れないなと思ったんです。

その後は?

そのあとは立て続けに2回打ったんです。ロックオンされる感覚はなかったけれど、ロックオンするのは確実に分かるので面白かったですね。ポイントは最初がいちばん高くて2番目はその半分となっていく。3機の総当たり戦だったので、最終的に勝てたかよく分からないまま帰ったんですが、結果は3人の中の真ん中でした。
待っているときも、面白かったですよ。2機が闘っている様子を空の上から眺めて待っているんですけど、これも凄い光景。本当に縦横無尽にぐるぐるやっていて「俺もあれをやっているのか」という感慨がありましたね。

M 映像で見る限り櫻木さんは平気な顔をしていましたね。

皆は降りてきてぐったりしていたけど僕は平気で、「もう何回でも乗りたいな」と思っていました。楽しかった。本当に楽しかったです。帰って来てから皆に言っていますもん。誰か一緒にやる人いないかなと思って。

M 2009年にもトップガンファイト第2弾を開催しますから、ぜひ。

空を飛べる。もっと飛びたい!


初めてのトップガン体験を振り返っての感想は?

今回は気持ち悪さが先に来てしまったので、ちょっと不完全燃焼なんです。もっと飛びたい、もっと…。もしかしたら僕、中毒になっているのかな。飛んでいる状態に対してではなく、単純に飛行機とかロックオンに対して。もっともっと、という気持ちが芽生えているんです。けっこうハマってますね。これで時間を空けるとよくないと思うんです。帰ってきてすごく盛り上がっていたのに、時間が経つにつれ、日に日に飛行機に乗るのがまた怖くなってきている。以前単独でスカイダイビングをしたときもそうだったんですけど、「俺空を飛べる、もっと飛びたい」と思ったんですよね。でもそのまま20年も経ってしまって、今はもう怖くて絶対やりたくない。だから今回は間髪入れずに2回目の経験をしたいと思っているんです。

今回のクエストでの発見はなんでしょう?

「飛行機の凄さ」につきますね。全然怖くない、気持ちいい感じで空を飛べた時の、あの不思議な感覚。その感覚のまま飛んで行って、楽しくって、戦闘が始まったら「ああ、ロックオンってこうやってやるんだ」と、すぐ感覚がわかって、対応できて、その瞬間瞬間が鮮やかで。
雲が少し出ていたんですけど、眼下は自分の住んでいるところで、パロスバーデスが右のほうに見えたり、ロングビーチの港が少しだけ雲の隙間に見えたり、カタリア島が見えたりする。土地勘があるので、自分がどこの上で闘っているのかが分かるのはよかったですね。「ああ、今ここの上を飛んでるんだ」と。
このクエストから帰国してすぐまたアメリカに戻って2週間ほど滞在したんですけど、車に乗っても、フラートンの飛行場の近くを走るとやっぱり上を見てしまいますよね。
「あいつら飛んでないかな?」と。どういうコースでどこまで飛んでいったかが分かっているから、そのあたりを走るとつい上を見てしまう。「やっぱ飛行機速いなぁ」なんて思いながらね。車に乗るとその速さを改めて思う。

空にいる間は、どんなことを思いましたか?

思い出すとぽわーとしているんですよね。真剣だったからか、集中していたからか、楽しんで余裕があったのか、実は余裕がなかったのか。なんでしょう…。すべてが初めてづくしで、あっという間の出来事というような密度の濃い時間で。時間がたつのがすごく早かったですよね。戻ってきて時計を見たら1時間も経っていた。でも、とても1時間何かをやっていたという気がしなかった。最初はもっと苦痛なんじゃないかと思って心配していたのに、「え?もう帰るの?」という感じだった。気持ち悪いから、帰れるのは嬉しいんだけど、帰っちゃうのは嫌だなと、自分の中でも欲だらけでしたね。

子供がまだまだ遊びたいと願うような。とてもクールに見えましたけれど、実は心の中で結構感動していたんですね。

結構内に秘めるタイプなので(笑)。あの場ではかなりクールでしたよ。でも心の中は嬉しくて嬉しくて。恥ずかしくてそれを表現できないんですよ!(笑)

  • ◎「上空3000mのトップガンファイト」STORY[前編]はコチラ
  • ◎「上空3000mのトップガンファイト」STORY[後編]はコチラ

 

 

Faust Profile

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桜木邦博

(BRAIN GROUP Inc. CEO、株式会社PSC ASIA代表取締役社長)
世界初のF1公式カフェ「F1 PIT STOP CAFÉ」をはじめとするF1の公式ライセンスビジネスを展開する㈱PSC ASIAのほか、BRAIN GROUP Inc. にてLAブランドを中心とするファッション、美容などの輸入代理・販売や空間プロデュース業を行う。ロスアンジェルスと東京のバイコースタル生活を送り、 このトップガンファイトの開催地フラートン空港からは目と鼻の先に在住。海外生活ながら日本男児の美学を大切にする熱血漢。かつては野球選手を目指し中 学、高校と野球名門校で不屈の精神力を養うが、健康上の理由で挫折した経験を持つ。卒業後オーストラリア、アメリカへ留学、後に輸入会社設立。現在少年野 球チームのサポートなど野球を通した貢献活動にも力を注いでいる。

  • ◎具体的な旅程を知り、同じ体験をしてみたい方はコチラ画像

Who is Mephisto ---メフィストとは

人生のすべてを知ろうとした、賢老人にして愚かな永遠の青年「ファウスト」(作:ゲーテ)。この物語でメフィストとはファウストを誘惑し、すべての望みを叶えようとする悪魔。当クラブ「Faust Adventurers' Guild」においては、Faustの夢と冒険の物語をサポートする案内人であり、彼らの変化や心の動きに寄り添う人物。時に頼れる執事、時に気の置けない友人のような存在は、『バットマン』におけるアルフレッド(マイケル・ケイン)、『ルパン三世』における不二子&次元&五右衛門トリオのようなものか? 今後、Mephistoは各クエストの終わりにFaustの皆さまの心を探りに参ります。どうぞよろしく。

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