Vol.1
2012年ヴァージン・ギャラクティック社により
宇宙への新たな歴史が刻まれる!
ガガーリンの人類初宇宙飛行から50年。あんなに遠かった宇宙が、宇宙飛行士だけでなく私たち民間人の手にも届きそうなほど近くにやってきている。イギリスの実業家サー・リチャード・ブランソン率いるヴァージン・ギャラクティック社による民間宇宙旅行のスタートを2012年(予定)に控え、人類が抱く熱い冒険心が宇宙への新たな歴史を刻もうとしている今、改めて同社の宇宙プロジェクトの軌跡を辿ってみたい。
当連載は、同プロジェクトにより、ファウスト会員・稲波紀明氏がファウンダー100の一人として宇宙へ旅立つまで、その挑戦を追い続けるものである。
From Faust A.G. Channel on [YouTube]
1961年
宇宙への第一歩「地球は青かった」
ロシア(旧ソ連)のボストーク1号が世界初の有人宇宙飛行に成功。宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリンの「地球は青かった」という言葉は多くの人に感動をもたらした。
1969年
夢を与えた人類史上初の月面着陸
ロシア(旧ソ連)に負けじと、今度はアメリカがアポロ11号による人類史上初の月面着陸という偉業を成し遂げる。ニール・アームストロングが月面に足を踏み出す様子は世界各地でテレビ中継され、およそ6億人もの人々が見ていたと推定されている。そのうちの一人の若者がこの偉業に衝撃を受け、宇宙への感動を自らも経験することを決意する。サー・リチャード・ブランソン、当時19歳であった。
1990年代後半
民間宇宙開発の転換点「アンサリ・エックスプライズ」がスタート
サー・リチャード・ブランソンは音楽業界や航空業界で次々とビジネスを展開する一方で、新しい宇宙開発技術の情報を集めていた。
そのころアメリカでは、ピーター・ディアマンティスのエックスプライズ財団と資本家のアニーシャ・アンサリとアミール・アンサリによる、民間による宇宙船開発を競うコンテスト「アンサリ・エックスプライズ」が設立され(賞金1,000万ドル)、民間の宇宙船開発が盛んに行われるようになっていた。サー・リチャード・ブランソンも「ヴァージン・ギャラクティック社」を法人登録し、宇宙業界に乗り出す。
2004年
民間による宇宙飛行の成功。スペースシップ1が宇宙へ!
アンサリ・エックスプライズが始動して8年。きわめて困難と言われていた条件を見事クリアし、米スケールド・コンポジッツ社の「スペースシップ1」がこの賞を獲得した。
・高度100km以上の宇宙空間に到達すること
・乗員3人(操縦者1人と乗客2人/乗客は相当する重しでも可)
・2週間以内に機体を再利用して再度宇宙空間に到達する
という条件をクリアしたことで、民間宇宙旅行の商業化に向けて大きな期待が寄せられた。そして、サー・リチャード・ブランソンは米スケールド・コンポジッツ社の技術提供を受けてヴァージン・ギャラクティック社を本格的に始動、乗客を乗せた宇宙旅行を行うことを発表したのである。
2005年
宇宙旅行の募集開始!
民間人の宇宙旅行といえば、2001年にアメリカの大富豪デニス・チトーが20億とも言われる旅行代金を支払い、半年にもおよぶ訓練ののちにソユーズに搭乗、実現していた。20億、半年の訓練……それではまだ一握りの人の夢でしかない。もっとたくさんの人を宇宙へ連れていくためにヴァージン・ギャラクティック社が企画したのは、サブオービタル宇宙旅行(弾道飛行)だ。費用約2000万円、わずか3日間の訓練を経て宇宙を体験できる、これこそまさに宇宙観光。
このサブオービタル宇宙旅行に多くの人が参加を希望し、最初の旅行者となる100人は抽選によって決められ、日本人からはファウスト会員・稲波紀明氏を含む3人が選ばれた。
サブオービタル宇宙旅行の魅力
弾道宇宙飛行とも呼ばれるこの飛行は、スペースシップに乗って高度110km以上の宇宙空間に到達。音速の3~4倍の速さで弾道飛行し、地上に帰ってくるもの。宇宙滞在時間は数分から十数分と短いものの、その間に乗客はシートべルトを外し、無重力環境と窓の外に広がる青い地球、漆黒の宇宙空間を眺めることができる。
2008年
母船「ホワイトナイト2」公開
ヴァージン・ギャラクティック社の宇宙旅行は、乗客が乗り込む宇宙旅客機を、母船となる飛行機で高度15kmまで運び、その後、母船から切り離した旅客機が空中発射して高度110kmの宇宙空間へと到達する方法だ。この年にはその母船となる双胴型飛行機「ホワイトナイト2(White Knight Two)」が公開された。サー・リチャード・ブランソンの母にちなんでヴァージン・マザーズシップ・イブ(VMS EVE)と名付けられたこの母船は、 翼幅はおよそ43mで、炭素複合材料を使用した航空機としては世界最大級。最大高度は15,240m以上、燃費もよく1日最高4回の飛行が可能だ。
2009年
夢の宇宙旅客機スペースシップ2、ついに完成!
12月、カリフォルニア・モハベ空港。宇宙旅行者や関係者、世界中のメディアなど800人にもおよぶ人々が駆けつけて公開されたのが、夢の宇宙旅客機「スペースシップ2」だ。「VSS(ヴァージン・スペースシップ)エンタープライズ」と命名されたこの旅客機は、アンサリ・エックスプライズを受賞したスペースシップ1の技術を受け継いで開発された。2人のパイロットを含む8人乗りの機体は、スペースシップ1のおよそ2倍の長さの約18メートル、翼幅が約13メートルで、胴体部分のほとんどが客室として使用される。宇宙空間を十分堪能するための大きな丸い窓と身体的負担に配慮したリクライニングシートには、ヴァージンらしい気配りが感じられる。
アメリカ・ニューメキシコ州南部で宇宙旅行の玄関口となる「スペースポート・アメリカ」の建設も行われていて、2010年7月には3,000mの滑走路が完成している。建築設計は、イギリスのフォスター・アンド・パートナーズとアメリカのURS社。
現在~
スペースシップ2が空を舞う。テストフライト続々
2010年からは宇宙旅行の実現に向けてテストフライトが行われている。今後、空中発射テストなどののち、いよいよスペースシップ2は一般人を乗せ宇宙へと旅立つ。サー・リチャード・ブランソンがアポロ11号の月面着陸に刺激されて抱いた宇宙への夢が、もう間もなく現実のものになろうとしている。
ヴァージンの宇宙旅行に嬉しい続報
大気圏再突入モードのフェザー飛行に成功!
The project is continuing…
ヴァージン・ギャラクティック
Text:Chiaki Nishimura
2011/09/08
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Vol.3
ヴァージンの宇宙旅行に嬉しい続報
大気圏再突入モードのフェザー飛...
2012/02/09 -
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2012年ヴァージン・ギャラクティック社により
宇宙への新たな歴...
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