Cent’anni Classica 2010
未来へ価値を継承せよ!
小豆島を駆ける至宝のクラシックカーたち
[後編]
瀬戸内海を望む海岸線を歴史的クラシックカーで疾走し、未来へ受け継ぐべき価値を模索した「チェント・アンニ・クラシカ タルガ小豆島 2010」。後編となる今回は、結集したファウストとともに大会の主役を務めた、至宝の名車たちにスポットライトを当てる。1929年式ブガッティ・タイプ35C、1959年式アバルト750レコルト・モンツァといった数々の名車は、誕生から半世紀以上経つことを微塵も感じさせない軽快な走りを披露することで、その歴史的価値をギャラリーの眼に焼き付けたことだろう。
Cent'anni Classica Targa shodoshima 2010
Entry Car Album
01
1929 BUGATTI Type35C
ブガッティ・タイプ35C
タイプ35シリーズは1926年からタルガ・フローリオ5連覇、1929年第1回モナコGPから2連覇を成し遂げ、伝説のスポーツカー・メーカーと呼ばれることに。タイプ35Cは、2リッターの直列8気筒+スーパーチャージャーエンジンを搭載している。
02
1947 ERMINI 1100 SPORT
エルミニ1100スポーツ
モダン・フィアットとして名高い508Cヌオーバ・バリッラ(1937年デビュー)のコンポーネンツを活用し、エルミニがチューニング。当時のミッレ・ミリアの1100クラスに参戦していた。搭載する1.1リッター直列4気筒エンジンは高回転までよく吹け上がるという。
03
1948 ROSELLI 1100 SPORT
ロセリー1100スポーツ
エルミニ同様、フィアットをベースに独自のエレガントなボディに架装。エンジン排気量も同様に1.1リッターとし、参戦カテゴリーのレギュレーションに準じている。タルガ・フローリオ、ミッレ・ミリアなど、当時の公道レースを戦った。
04
1949 O.S.C.A MT4 1100 Siluro
オスカMT4 1100シル―ロ
1919年にマセラティを創業したマセラティ兄弟が1947年に興したスポーツカーブランドがオスカだ。MT4シリーズは、タルガ・フローリオやミッレ・ミリアなどで実績を残し、また、クーペタイプのボディや排気量を拡大したエンジンなどバリエーションがある。
05
1950 Ferrari 166MM/195S
フェラーリ166MM/195S
166は1気筒当たりの排気量(cc)、MMはミッレ・ミリアの略で、1948年に同レースで優勝したことから名付けられた。166シリーズはル・マンでも活躍し、クーペボディのバリエーションもある。195S 1気筒当たりの排気量を195ccに拡大した2.4リッターV型12気筒エンジンを搭載している。
06
1954 MORETTI 750 SPORT
モレッティ750スポーツ
1925年、オートバイ・メーカーとしてスタートしたモレッティ。後に商用車や電気自動車を製作するなど、徐々にその基盤を固めていった。1950年代に入り、フィアットのコンポーネンツを活用し、モデル開発。軽量コンパクトなスポーツカー作りへと進んでいった。
07
1954 MORETTI 750 SPECIAL
モレッティ750スペシャル
モレッティが本格的にモータースポーツ参戦をにらみ、ホットなチューニングを施したモデル。チューブラーフレームにアルミ製のボディ、高回転型の748ccエンジンを搭載する。ミッレ・ミリア向けに製作された希少なモデル。
08
1955 LOTUS Mk9
ロータス・マーク9
レーシングカーの製造販売からスタートしたロータスのプロトタイプといえる、最初期のモデルから数えて9作目となるマーク・ナイン。空力を意識したボディは、アルミ製で軽量。ちなみに、ロータスが本格的に市販車を発売するのは1957年のことだった。
09
1955 ALFA ROMEO Giulietta Sprint Veloce Light Weight
アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ・ライト・ウエイト
ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェをベースに、ボディ各部にアルミを採用し、リアとサイドのガラスをアクリル製のものと交換。その名の通り軽量化を図ったモデル。最高出力は90psと変わらないが、実質的にスポーツ性能は高められた。
10
1963 ALPINE A106 Mille Miglia
アルピーヌA106ミッレ・ミリア
ルノーのディーラーを経営していたレーシングドライバーのジャン・レデレが設立したブランド。ルノー4CVをベースにミケロッテがボディデザインを担当。当初はオープンボディであったが1960年にクーペを追加した。747ccの直列4気筒エンジンを搭載。ミッレ・ミリアなどで活躍した。
11
1957 ALFA ROMEO Giulietta Sprint Veloce Zagato
アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ・ザガート
カロッツェリアであるザガートにより専用のアルミボディを架装。生産台数はわずか17台というレアモデル(後にSZ系へと発展)。1.6リッターの直列4気筒DOHCエンジンはそのまま搭載されているが、ほぼワンオフに近い車両だけにその個体差は未知数。
12
1959 ABARTH 750 Record Monza
アバルト750レコルト・モンツァ
チシタリアのレースエンジニアであったカルロ・アバルトが1949年に独立。自らの名を冠し、チューニングやレース車両を製作する。この車両はフィアット600をベースに開発。ボディはザガートが担当した。747ccの直列4気筒DOHCエンジンを搭載し、最高速度は200km/hに達するという。
13
1961 ALFA ROMEO Giulietta Sprint
アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント
1954年トリノショーでデビュー。この1961年モデルは最後期型になるのでエンジン出力が向上した80ps仕様を搭載する。全長が約4mとコンパクトなスポーツカーということから、ジュリエッタ(小さなジュリア=ジュリアの妹)と名付けられたという。
14
1962 ALFA ROMEO Giulietta SZ2
アルファロメオ・ジュリエッタSZ2
アルファロメオとザガートがコラボし、ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ・ザガートは、正式なカタログになった。しかし、シャシーはスパイダーのものが活用され、ホイールベースが短縮され、軽量ボディと相まって、スポーツ性能は向上した。
15
1964 Porsche 904 GTS
ポルシェ904GTS
1964年、初陣のタルガ・フローリオで1-2フィニッシュ! 同年のル・マンではエントリーした5台すべてが完走という結果を残した。ポルシェ初のFRPボディに180psを発生する2リッター水平対向4気筒DOHCエンジンのミドシップを搭載している。
16
1966 Porsche 906 Carrera6
ポルシェ906カレラ6
ディーノ206Sの対抗馬として登場。ル・マンでは大排気量のフォードGTに甘んじたが4位~7位(ル・マン専用のロングテールボディ車)までを独占した。搭載する2リッターの水平対向6気筒エンジンは約210psの出力だが、レースカーとしてのバランスのいいパッケージが最大の武器である。
17
1967 Porsche 910 Carrera10
ポルシェ910カレラ10
カレラ6の発展型として、FIAのGTクラスのレギュレーションに適合させるカタチで開発。搭載するエンジンは、2リッターの水平対向6気筒と、2.2リッターの水平対向8気筒がある。車重は6気筒モデルで約575kgと超軽量。総生産台数は28台と希少性も高い。
18
1967 ALFAROMEO 1600 Spider
アルファロメオ1600スパイダー
ジュリエッタ・スパイダーの後継モデルとして1966年に登場。ピニンファリーナが手掛けた美しいオープンボディは、空力的にも意欲作となっている。1.6リッター直列4気筒エンジンはアルファロメオのお家芸、DOHCヘッドをもち、109psの最高出力を誇る。
19
1970 Porsche 914/6
ポルシェ914/6
914のベースグレードにはVWの水平対向4気筒エンジンを搭載するが、上級グレードの914/6には911シリーズ同型式の水平対向6気筒エンジンがおごられていた。4気筒モデルは価格と軽快さが魅力だが、6気筒モデルは飛びきりの巡航性能が魅力でもある。
20
RENAULT 8 GORDINI
ルノー8ゴルディーニ
1962年に登場した量産セダンのルノー8をベースに、アメディ・ゴルディーニがチューニング。1964年のツール・ド・コルス・ラリー(コルシカ島)で優勝するなど、華々しい戦績を残した。当初、リアに搭載されていた1.1リッター直列4気筒エンジン(95ps)は、1966年に1.3リッター(103ps)へと排気量を拡大。1970年まで生産された。
21
ALPINE A110
アルピーヌA110
ルノー8をベースに大幅にモディファイ。1963年のデビュー当初はゴルディーニ・チューンの1.1リッターエンジンを採用していたが、1977年の最終モデルでは1.8リッターエンジンを搭載していた。長期にわたりラリー・シーンで活躍していたが、1971年のモンテカルロ・ラリーでは表彰台を独占するなど、その伝説は今なお語り継がれている。
22
1967 Lamborghini Miura P400
ランボルギーニ・ミウラP400
1966年のジュネーブ・ショーで発表されたランボルギーニ初のミドシップカー。最高出力350psの4リッターV型12気筒エンジンを横置きに搭載している。流麗なデザインはベルトーネのマルチェロ・ガンディーニ作。ミウラはその後、P400S、P400SVへと発展する。
23
1968 Dino 206GT
ディーノ206GT
1967年のF2のレギュレーションに合わせてホモロゲーションを獲得するために、小排気量エンジンの量産に迫られたフェラーリが開発した市販モデル。2リッターのV6エンジンを搭載している。車名はV型エンジンの開発プロジェクトに関わっていたが、時半ばの1956年に他界したエンツオの息子、ディーノの名を与えたものだ。
24
1969 Dino 246GT
ディーノ246GT
初期の2リッターから排気量を拡大。エンジンは2.4リッターとなり最高出力は180psから195psへと高められた。また、ホイールベースが延長されリアのオーバーハングもやや伸びている。ボディパネルは206GTが総アルミだったのに対し、246GTではスチールを採用し量産性に配慮している。
25
1972Dino 246GTS
ディーノ246GTS
着脱式のルーフをもつGTSは1971年に追加された。オープンモデルの需要が高い北米マーケットをにらみ、その後、後継モデルとなる308、328、348、355にも採用し人気を博す。360からはベルリネッタ(クローズドボディ)とスパイダー(幌式のオープンボディ)へとシフトした。
26
1972 Lamborghini Miura SV
ランボルギーニ・ミウラSV
1971年に登場し1973年まで生産されたミウラの最終モデル。排気量はそのままにエンジンの最高出力は、Sの370psから385psへと高められた。外観上の顕著な違いは、リアのトレッド拡大に合わせカウル形状を膨らませてあること。優雅さのなかにスパルタンな印象が漂う。
27
1979 Lamborghini COUNTACH LP400
ランボルギーニ・カウンタックLP400
フラッグシップモデルであったミウラの後継モデルとして1974年に登場。搭載される4リッターのV型12気筒エンジンは、このカウンタックから縦置きとされた。この個体はマフラーエンドが12本というカスタマイズされた車両で、スーパーカーブームの絶頂期に大阪万博会場で開催されたスーパーカーショーのポスターになった車両そのものである。
28
1989Lamborghini COUNTACH 25th Anniversary
ランボルギーニ・カウンタック25thアニバーサリー
ランボルギーニ創立25周年を記念して1988年に発売が開始されたカウンタックの最終モデル。前作LP5000QV同様、最終的に5.2リッターまで拡大されたエンジンの最高出力は455psと変更はないが、車重は約190kg増えている。今回のイベントにはボディ色の異なる2台が参加していた。
29
2008 BUGATTI Beyron16.4
ブガッティ・ヴェイロン
ブガッティ・ブランドを傘下に収めたVWが、新生ブガッティのファーストモデルとして開発した超弩級のスーパーカー。侠角V8エンジンを2基組み合わせた8リッターのW型16気筒エンジンに4基のターボを追加。最高出力1015ps(1001hp)をたたき出す。最高速度は407km/hに達するという。2006年からデリバリーを開始し、最大生産数300台を上限に定めている。ちなみに日本では2台現存する。
30
Ferrari 365GT 2+2
フェラーリ365GT 2+2
1967年のパリ・サロンでデビュー。1971年の序盤まで生産された。ロングノーズの美しいボディはピニンファリーナによるデザインで、リアシートを備えた4人乗りとなっている。搭載されるエンジンは4.4リッターのV型12気筒。最高出力は324psを発生する。
31
Ferrari 365GT4/BB
フェラーリ365GT/4BB
1971年トリノ・ショーで発表。優雅なピニンファリーナのデザインとミドシップレイアウトが話題を呼んだ。365は1973年~1976年の期間、387台が生産され、その後512へと引き継がれた。180°のバンク角をもつ4.4リッターV型12気筒エンジンを搭載。最高出力は365psを発揮した。
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- ◎「未来へ価値を継承せよ!小豆島を駆ける至宝のクラシックカーたち」ファウストインタビューはコチラ
イベント名:チェント・アンニ・クラシカ タルガ小豆島2010
http://www.targa-shodoshima-storica.com/
主催:タルガ小豆島2010実行委員会事務局
協賛:京商株式会社/Libre Autodromo/ROUTE BORRANI/NANNINI/SCHEDONI/SPARCO
特別協力: SCUDERIA FORME/リゾートホテル・オリビアン小豆島
独奏協力:社会福祉法人清見福祉協会 草壁保育園
製作・運営協力:株式会社ジェイアール西日本コミュニケーションズ
参加台数:クラシックカー部門20台/スーパーカー部門11台
メインプログラム:島内パレード&ラリー/ヒルクライムラリー
アトラクション:車両展示/コンクールデレガンス/ジムカーナ/キッズバイクサーキット他
Text: Norishige Seiichi(KUSHIMA office Ltd.)
Photo: Takeshi Tsurumi
2010/07/15