
Hirotaka Takeuchi
竹内洋岳
登山家
ものすごく特別な今さら――14座登頂の意味
生と死が隣り合わせる極限の世界で、竹内洋岳は挑戦を続けてきた。自らの限界に挑み、逞しくも笑顔で乗り越えてきた。
今年5月、世界に14座ある8000m峰──そのすべてがヒマラヤにある──の完全登頂を、竹内は日本人で初めて成し遂げた。1995年のマカルー登頂から18年に及んだチャレンジはついに幕を閉じ、地球上で29人目の〈14サミッター〉が日本から誕生したのだ。
竹内が成し遂げた快挙は、登山界はもちろん日本中を駆けめぐった。興奮と感動を巻き起こした。
ところが、本人は意外なほどに冷静なのである。
「日本人初ということには、意味さえ感じません」と語るのだ。
プロフェッショナルマウンテンクライマーの胸中で、いま膨らんでいる思いとは。