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07 ROAD

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Vol.3
気仙沼大島ランフェスタで震災復興
地元と東京の力を結集せよ!

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東日本大震災で大きな被害を受けた三陸の島を舞台に、「気仙沼大島ランフェスタ」が、5月27日(日)に開催される。「楽しむことが支援になる」を テーマに掲げ、10キロランとハーフマラソンを核に行う、震災復興ランイベントだ。現地の主催団体から依頼され運営にあたるのは、ファウストA.G.の スーパーバイザーでもあるスポーツナビゲーター白戸太朗氏はじめ、東京を拠点とするファウストなビジネスリーダーたち。現在、彼らは“開催まで4カ月未満、白紙状態で依頼を受けて”という強硬スケジュールに団結して臨み、震災復興のため奔走している。

1年経った今を知り、さらなる復興へ



トップ写真:ミーティングに集まった面々。一番右の覆面人物は合同取材を行ったフェルディナント・ヤマグチ氏。その記事は日経ビジネスオンラインで読める(http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20120411/230844/)
上・下:ミーティング参加者には初対面の人も含まれた。

ようやく訪れた春の柔らかな風が、ビルの谷間をはしゃぐようにすり抜けていく。街を往く人々の服装も、淡い色が目立つようになってきた。西日本から北上する桜前線は、首都圏にも近づいていた。
4月2日、東京・青山の表参道交差点にほど近い「青山フラワーマーケット」の本社オフィスに、お馴染みのファウストメンバーをふくめ、各界のビジネスリーダーたちが集まっていた。中心となるのは、トライアスロンを通じたネットワークである。
大会で見せるものとはまた違う真剣な表情で、彼らは会議室へ集合した。
「皆さん、今日はありがとうございます。お忙しいでしょうから、さっそく始めましょう!」
青山フラワーマーケットらしい、緑で彩られた会議室に、司会役の小林正晴(ワイズインテグレーション会長)の声が響く。出席者は真剣な表情で、A4版の資料に視線を落とした。

――「気仙沼大島のことで、ちょっと相談に乗ってもらえませんか」
白戸太朗(アスロニア代表)が災害復興支援の公益社団法人シビックフォースから連絡を受けたのは、寒さもこれからという12月だった。震災復興を行なっている法人が、様々なスポーツイベントに関わってきた自分に相談してきたということは……。白戸は直観的に「被災地で何かやりたいのかな」と思った。
宮城県気仙沼市の対岸に、東北地方最大の有人離島「気仙沼大島」がある。陸中海岸国立公園と海中公園に指定されているこの島は、古くから観光地として繁栄してきた。
2011年3月11日を境界線に、すべては一変した。津波と火災で島は大打撃を被り、島の人々は何もかもを失った。
年が明けて1月、依頼を受ける前にまずは下見をと、現地を訪れた白戸、小林、伊東伸晃(アンビションアクト代表)の三人は、眼前にひろがる光景に声を失った。震災から10か月が経過しているというのに、島内には瓦礫がうずたかく積み上げられていた。震災以前の面影は、いまだどこにも見当たらなかった。
首都圏では地震に対する恐怖心がどんどん水位を下げているのに、復興が思うようにままならない土地がある。テレビが伝えない現実を知った彼らは、胃の中に冷たく重いものが沈み込むのを感じた。自分たちの緊張感のなさに、暗然たる思いを抱いた。
現地で案内役を務めたのは、気仙沼大島観光協会会長の白幡昇一だった。自らも被災者である白幡は、熱っぽい口調で語りかける。
「これまで全国から物資の支援を受けてきましたが、いまもう物資がなくても自活できています。これまでの支援に対して、我々も何か恩返しがしたいんです。島の観光復興の第一歩として、イベントができないでしょうか。島民もイベントに関わることで地域のコミュニティを再構築して、自分たちで立ち上がるきっかけにしたいんです」

左:大会実行委員長の白幡。右:プロジェクトリーダーを務める白戸。

気仙沼大島では、28年間、毎春にマラソン大会「つばきマラソン」が開催されてきた。しかし、震災発生直後の昨年は中止を余儀なくされ、今年もすでに開催の見送りが決定したという。主催してきた地元自治体は、予算面でも人手の面でも、開きたくても開けないというのが実情なのだ。
しかし、白幡ら地元の人々は、夏の観光シーズン到来をまえにイベントを実施したいとの意向を持っていた。
通常、トライアスロンやマラソンの大会では、1年前から準備がスタートする。しかも、主催も運営もほぼゼロからのスタートになり、歴史ある「つばきマラソン」の名前は使いたくても使えない。あきらかに時間がない。通常なら有り得ないスピード感が必要になる。
だが、白戸らの胸には強い使命感が宿っていた。
「気仙沼大島の現状を、たくさんの人に見てもらおう。この景色を見れば、絶対に何かを感じるはずだから」
それぞれが持つネットワークを通じて協力を呼びかけると、すぐに多くの賛同が得られた。プロジェクトが、動き出した。

気仙沼大島。3月11日、田中浜(写真左側)と、フェリーの着く浦の浜(写真右側)の両側から津波は襲いかかってきたという。

植樹、屋台、ツアー……結集していく力

それから3カ月、4月2日のミーティングの時点で、アウトラインはすでに出来上がっていた。「気仙沼ランフェスタ ~楽しむことが支援になる~」と名付けられたイベントは、5月27日の開催が決定した。走って、聞いて、食べて、笑って、をキーワードとし、10キロとハーフのマラソンをメインに、様々なイベントを提供することになっている。主旨に賛同した有志が集まり、そこからさらに話を進めて、「どうやって人を集めるのか」、「現地で何を提供するのか」といった詳細を煮詰めるのがこの日のテーマだ。
企画制作を担当する伊東が口火を切る。
「参加募集は3月24日から始まっていて、すでに関東圏の応募は300人を越えています。とは言え、もっと集めたいですが。ただ、被災地3県の応募はまだ少なくて、これは現地での告知がうまくいっていないことが理由だと思います」

「東京から集客するなら、まず何時に行って帰って来られるのかを明確に提示したほうがいい。行きたいと言っている友人はたくさんいるんだけれど、時間的なイメージがつかめないという声をよく聞く」
そう提案したのは、白戸らの呼びかけに賛同し、当初から協力を申し出ている稲本健一(ゼットン代表)だ。
伊東が返答する。
「はい、そこはJTBさんがスポンサーになってくれて、ツアーを組むことになりました」
「いいですね。モデルプランがいくつかあると、なおいいのでは」と稲本。

全員がアイデアを出し合いミーティングは進んだ。左から、稲本(ゼットン代表)、村山(ボダム ジャパン代表)、井上(パーク・コーポレーション代表)。

この日のミーティングには、気仙沼大島観光協会会長の白幡も出席している。今回のランフェスタの実行委員長を務める彼は、朝6時の船で気仙沼大島を出発し、14時のミーティングに出席している。
「宿泊について、大島では700人分の宿を確保しています」
700人という数字は、ランフェスタ実行委員会の想定参加者数である。ただ、運営側は最大で1200人の動員を見越している。「700人を越えたらどうするの?」というメンバーの疑問に、プロジェクトリーダーの白戸が答えた。
「気仙沼から大島までは、フェリーで片道25分です。本土側に泊まっていただいても、さほど不便をかけることはないでしょう。トライアスロンをやっている皆さんなら、泳げる距離ですよ(笑)」
白戸の笑顔がメンバーにひろがっていく。会議室の空気がやわらいだところで、井上英明が周囲の視線を集めた。青山フラワーマーケットを主宰するトライアスリートの彼は、今回のプロジェクトで重要な役割を担っている。



上:気仙沼大島の仮設住宅。下:長谷川理恵も意欲を語った。

「(マラソン大会などで)完走者はTシャツやタオルをもらったりするわけですけれど、このランフェスタに参加してくれる人たちが、Tシャツを欲しいだろうか? 気持ちを残していきたい人たちのばずだから〈植樹〉がいいかなと思っているんです。参加賞を植樹の苗木にして。僕自身、ロタ島のトライアスロンに出場したときに植樹をしたんですけど、そうするともう一回行きたいという絆みたいなものが生まれるんです」 「何を植える予定なんですか?」
井上は「現地の土壌を調べないと決められないんですが」と前置きをしてから、気仙沼大島の代名詞となっている花をあげた。
「たとえば、桜の苗木を津波の到達地点に植樹するということも考えたのですが、ここはやはり島で有名な〈椿〉はどうかなと。将来的には椿オイルをつくることもできますし」
会議室が拍手に包まれた。真っ赤な椿が咲き誇る光景を、誰もが思い浮かべていた。

レース前後のイベントも、大会を彩る重要な要素だ。伊東が話す。
「レース当日はもちろんなんですが、前夜祭もやりたいと思っています。アーティストやお笑いタレントに、ライブをやってもらうとか。出演者はまだ確定していないのですが」
飲食の充実も欠かせない。ここで牽引役となるのは稲本だ。ご存じゼットンの代表取締役社長は、メモをみることもなくスラスラと話していく。彼なりの構想が、すぐに練り上げられているからだろう。
「飲食については、大まかにふたつのアプローチがあると思うんです。地元の食材のみを使うのか。ワカメから復興が始まっていると聞きますから、地元のモノを全面的に使ったメニューにするのか。それとも、バーベキューのような提供の仕方がいいのか。どちらにしても、このランフェスタは継続事業にしていかなきゃいけないと思うんですね。飲食については、ただおなかいっぱいにするのではなくて、何を出すべきなのかを真剣に考えているところなんです」
イベントの付加価値を高めるライブや飲食についての議論と並行して、参加者をさらに増やすための意見交換行なわれた。今回のミーティングに女性で唯一参加したモデルの長谷川理恵さんも、彼女らしいアイディアを披露した。 自らもマラソンランナーの彼女だが、今回は運営サイドで成功に力を注ぐとのことだ。
「私はやっぱり、女性ランナーにたくさん集まってもらいたいです。女性だけのマラソン大会があるんですが、すごく華やいだ雰囲気に包まれます。女の子が走るだけで、明るくなるんです。植樹というのも女性が喜ぶと思います」
この他にも、「現地までのバスの中でセミナーを行ってはどうか」「大島の人たちをもっと巻き込まなくては駄目だ」など活発な議論が交わされた。

現地の人々と一緒になり
復興を押し上げる

それぞれが多忙なスケジュールをやり繰りして確保した時間は、あっという間に過ぎていった。プロジェクトリーダーの白戸が、両手をテーブルについて立ち上がった。
「復旧、復興へ向けて大変なときに、『大会なんてやっていいのか』と思われるかもしれません。僕だって、1年前、半年前なら『やるべきです』とは答えられなかったでしょう。でも、いまは現地の人たちと協力し、何かをやることで勇気づけられると思っています。たくさんの人たちに現状を見て、感じて、触れ合ってもらうことが大事だと思っています。皆さんのパワーとやる気で、当日まで突っ走っていきましょう!」
拍手に包まれたミーティングルームで、白幡会長だけは頭を下げていた。席を立って改めてお辞儀をし、「今日はありがとうございました」と切り出す。
「島の人々も積極的に関わりたいと話していて、マグロのかぶと焼きを提供しよう、などなど意気込んでいます。これをきっかけに、気仙沼大島が立ち上がっていければ思います。どうかよろしくお願いいたします」
現地の人とつながり、多くの人が集まることで、ランフェスタには生命(いのち)が吹き込まれる。
絆が出来上がっていく。
5月27日の気仙沼大島では、人生の宝物と言ってもいい温もりを感じることができはずだ。

ミーティング出席者

伊東伸晃 ㈱アンビションアクト 代表取締役
稲本健一 ㈱ゼットン 代表取締役社長 
井上英明 ㈱パーク・コーポレーション 代表取締役 
小林正晴 ㈱ワイズインテグレーション 取締役会長
佐藤大吾 一般財団法人ジャスト・ギビング・ジャパン 代表理事
長谷川理恵 モデル
浜口隆則 ㈱ビジネスバンク 代表取締役
早川明伸 中島経営法律事務所 パートナー
村尾隆介 ㈱スターブランド 代表取締役
村山盛史 ボダム ジャパン㈱ 代表取締役
渡邉和史 コカ・コーラ㈱ マーケティングシニアマネージャー
※五十音順

気仙沼大島ランフェスタ実行委員長 白幡昇一 (気仙沼大島観光協会会長) 
同プロジェクトリーダー 白戸太朗 (㈱アスロニア代表取締役)

Data

気仙沼大島ランフェスタ 
日時:5月27日(日)  9:00セレモニー、10:00スタート
          ※26日(土)夜に前夜祭を予定
会場:宮城県気仙沼 大島、大島ふれあい広場
種目:10キロラン(一般・高校生以上)、ハーフマラソン(一般)
参加費:被災地3県一般2500円、被災地3県以外一般5000円
定員:1200人
募集期間:3/24~5/6(インターネット) 5/10(郵便振替) 
(エントリーは定員に達し次第、締め切られる場合があります)
主催:気仙沼大島ランフェスタ実行委員会

公式サイトおよびエントリー
http://oshima-runfes.jp/

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