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07 ROAD

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Vol.16
スーパー耐久2011シーズン第4戦「鈴鹿300km」
表彰台まであと一歩!
激闘の末、総合4位を獲得

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スーパー耐久2011シーズン第4戦「鈴鹿300km」。昨年はチーム初のシングル着順、6位を手に入れた相性もいいサーキット。佐藤・岡本・堀のドライバー達もそれぞれが練習を積み、気合十分で鈴鹿にのりこんだ。

走って解決するしかない課題

振り返ればFaust Racing Team(以下Faust.RT)のレース緒戦は4年前、ここ鈴鹿だった。スーパー耐久(以下S耐)最高カテゴリーのST-1へ参戦し、チーム結成初レースを無事に完走。以来、実戦を積み重ねてきた。ドライバーの技量も上がってきた今年は、トップチームと同等のマシンBMW Z4クーペを手に入れ、表彰台を狙える位置までは来たものの、そこから先には越えなければならない壁があった。
プロドライバーや経験豊かなアマチュアレーサー達との周回1秒~2秒の差が埋まらない。コーナーひとつ0.1秒の差があれば1周で当たり前のように2秒違ってしまう。「経験値だよ」とひとことでくくるのは簡単だが、具体的に何が足りないのか? その答えを誰もが欲しがっていた。







鈴鹿サーキットのコースは世界的にみても特異なコース形態をもつ。素早い切り替えしが要求される上りのS字コーナー、一定のカーブ率が長く続くスプーンコーナー、最速コーナーの130Rと、シーズン中で最も高い横荷重がタイヤにかかるサーキットだ。タイヤのグリップ力を最大限引き出さなければタイムは詰められない。
今回、Faust.RTはレース開催週の一週前から、佐藤と岡本が鈴鹿でのテスト走行に参加、本コース上で練習を積んできた。堀はF3レーサーの千代選手と2日間で140LAP、カートで抜きつ抜かれつのバトルをしてきている。相性のいい鈴鹿で、その答えを見つけるための準備は整ったといえるだろう。

ウェット宣言の中、スリックでアタックする予選

10月22日(土)予選。
早朝まで雨が降り続いたものの、併催となる世界ツーリング選手権(WTCC)のフリー走行前に雨はやみ、コースはウェットから次第に乾きはじめる。フルコースを使うS耐と違い、WTCCは東コースだけを使用するため、時間が経過するにつれ、東コースがドライ、西コースがウェットという微妙な状況になっていた。

ドライ用のスリックタイヤを選べばタイムは出るはずだが、スピンする危険性もはらむ状況下で、最初、チームは溝のあるレインタイヤを選択した。この場合は、ウエット路面でも時計を出せるランエボ勢(ST-2クラス)と予選ポジションを争うことになるが、大きなリスクはおかせない。
しかし、路面は刻々変わる。WTCCのフリー走行後半は全車スリック。そうなればチームの判断も変わってくる。アタック1周目だけ様子を見て、西コースは縁石に乗らないように走り、スリックタイヤでいこうということになった。他チームも同じ判断らしく、予選は全車スリック装着でのアタックとなった。
Aドライバーの堀はアタックラップ初周、慎重な走りで2分21秒。そこから路面状況をみながら、19秒、18秒とタイムを上げていく。アタックラップの最終周はスプーンで前車にひっかかったものの2分18秒336をマーク。5位のタイムで予選を終えた。
ST-3/4/5クラスの予選を挟んで、路面はさらに乾いて来た。レコードラインはほぼドライといっていい状況。Bドライバー佐藤はアタックラップの最初で2分15秒481。同じマシンのトップチーム「ペトロナス」から3秒落ちなら悪くない。佐藤はBドライバー予選で4位を獲得した。
アタックを終えた佐藤は、
「14秒台は出さないといけないね。まだ路面が濡れている部分があったので安全にいきました」
Aドライバー+Bドライバーの合計タイムで争う予選は、結果5位。ST-2クラスを1台挟むも、雨に惑わされ続けた今季の予選の中でベストポジションを得ることができた。
Cドライバー岡本の予選もドライ。基準タイム(最低タイムが設定されている)をクリアをすれば良いだけなので、アタックラップは1周。タイヤを温存することになった。通常、決勝のスタートタイヤは、AドライバーとBドライバーのどちらかが予選で使ったタイヤをマーキング、そのどちらかを使用するのだが、主催者側から予選でWET宣言が出されたため、その縛りから外れたのである。
そのアタック、肩の力が抜けていたのか、岡本は2分15秒454で、Cドライバー予選2位タイム。
岡本「練習の時には、ガツガツいって上手く走れないのになぁ」(笑)

予選後の学習会「タイヤ診断」

通常、ドライバーは走行を終えて返ってくるとマシンの状態をメカに伝え、本戦前なら、それがセッティングにフィードバックされる。ところが、マシンバランスはタイヤを含めた複雑な要素の絡み合いによって微妙に変化する。ドライバーのインプレッションは現実と微妙に違う可能性を含むため、メカニック側はデータロガーによる具体的な数値や、タイヤ表面の具合、タイヤ温度などを合わせ、総合的な判断でセッティングを変えていく。
なかでもタイヤに関しては、セッティングへの反映はもちろん、ドライバーの技量を推し量るには絶好の判断材料となる。S耐は横浜タイヤのワンメイクレースなのだが、その横浜タイヤの担当者が、予選を終えたチーム全員のタイヤを見て、タイヤから見た「走行診断」を行ってくれた。タイヤ表面の溶け具合、磨耗度合い、荷重のかかり方などを見てくれたのだ。
タイヤメーカー担当者はドライバー経験がないので客観的な事実だけを語る。それをドライバーの言葉としてイメージを伝えるのは、Faust.RTのコーチ役、山野。ブレーキメーカー「プロジェクト・ミュー」の開発ドライバーだ。
「Bドラはアウト側の使い方が荒いですね」という横浜タイヤの担当者。
Bドライバーの佐藤はラリー出身。ラリーのコーナリングは、限界より低い速度でドリフトさせ、タイヤエッジを使う、その走りが染み付いているのだ。本人にとっては言われるまでもないのだが、タイヤの「顔」から判断され、目の前に現実を突きつけられた。

佐藤「Gを感じて走るのは『乗れている』感があって楽しいけど、それじゃいけないね、この車は。どうしてもロールさせて走るクセがあるから、横Gのかかるアウト側にのせるまで、ロールする前にイン側のタイヤを使うようにしないと。カートで走っている堀さんの方がタイヤの使い方が上手いのもわかる」
F1ドライバーの技量の優劣を決めるひとつとして「タイヤマネジメント」能力がある。タイヤマネジメント=レースマネジメントとなるガチ勝負の世界。Faust.RTのドライバー技量の向上にも、「タイヤ」の学習は避けては通れぬ道。毎コーナー0.1秒詰めていくためには、コーナー進入のブレーキから出口加速に至るまで、「タイヤ」を意識して能力を発揮させること。それがいかに大事か、感じさせてくれた学習会だった。

決勝直前のドライバー交代練習

10月23日(日)決勝。
WTCC併催のため「300km、52周」という耐久レースとしては「超」のつく短いレース。ドライバー交代が最低2回義務付けられているため、ピットイン戦略がレースの勝敗を決める大きな要素となる。とはいっても、Faust.RTのチーム基本精神として、3人のドライバーが、それぞれレースを「楽しむ」こと、「ドライビング技量の向上」が大前提としてある。1人のドライバーの運転時間を短くするショートスティント作戦は取りようがない。ピットイン時にできることといえば、ピット時間を短縮することしかない。
午前8時からのフリー走行/30分間を終え、決勝開始までのわずかの時間がドライバー交代の練習時間にあてられた。狭いコクピットへの乗り降りは想像以上に難しい上、無線コードとドリンクホースがあるため、これを手際よく脱着しなければいけない。また、ドライバーの着座位置が体格で違うため、素早いシート合わせも必要だ。決勝のドライビング順と同じに、堀→岡本→佐藤で、それぞれが目標とする『20秒』チャレンジを行った。今までにないほどの回数、繰り返される交代練習は、決勝コースイン時間ギリギリまで続いた。

表彰台圏内を走行するレース序盤

三重県内で鈴鹿周辺だけが好天という、奇妙な天気。路面は完全にドライだ。場内放送でも「刈谷市は土砂降りですが、ここ鈴鹿だけは晴天」と言っている。ショートレースなので、1回目のピットインはタイヤ交換のみ、2回目のピットインは給油のみというのが基本戦略として立てられた。



WTCC併催のためタイムスケジュールはタイトだ。あわただしくスタート前30分を迎える。ドライバー堀がマシンに乗り、コースを1周し、スターティンググリッドに並ぶ。レースクイーンやメカニック、関係者がマシンを中心に取り囲む。見知った他チームのドライバーとも、ここでしばしの歓談。
スタート前10分、関係者退出。マシンに乗り込む堀と佐藤・岡本がガッチリ握手、スタート時間が迫る。1分前、エンジンON。10時ジャストにシグナルグリーンでフォーメーションラップスタート。ローリングスタートのため、1周目は隊列どおり進む。そして最終コーナーからホームストレート、一斉に爆音がこだまし始める。フィニッシュラインを越えてレース開始だ。
勝負がかりの1コーナー、インを狙った堀は、4位でスタートしたST-2クラスを瞬時にパス。ピット内は「やったね」の声と拍手で包まれる。そのまま1周目は4位で戻ってきた。ところがレースは意外な方向へ進む。最終コーナー手前のシケインでマシン通しの接触があり、オイルが出てしまったのだ。そのためセーフティーカーが入ることになった。
セーフティーカーが先頭を押さえる間に、ピットインを仕掛けるチームが複数。上位陣の中では#11のBMWがピットイン。ドライバーチェンジを行った。規定のドライバー交代2回のうち1回をセーフティーカー導入のうちに済ませてしまおうという考えだ。彼らの目標は上位2台のペトロナスBMWに割って入ること、ピット作戦で上位を狙う。
そのおかげで、Faust.RTは労せずして3位のポジション。応援に来てくれたゲスト達やレースクイーンも自然と力が入る。ライバルチームの作戦はどうであれ3位なのだ。セーフティーカーは2周でアウトし、レース再開。堀は2分16秒台~17秒台で周回を重ねる。52周レースのため一人が受け持つのは17周。その終盤15周目には「セクター3ベスト」、続いて「セクター4ベスト」と調子は上がっている。

白熱する中盤~終盤戦

16周目、ピットから「ピットインお願いします」の無線。課題としていたドライバー交代だ。ピットロードでは車が入ってきたことを知らせるサイレンが鳴り、堀のBMW は#9ゼッケンを付けた車止めに、ノーズを叩きつけるように入ってきた。ドライバー交代&給油+タイヤ交換で55秒。ピットインで1分を切ったのはもちろん初めて。給油がないせいもあるが速い。ドライバーチェンジは練習の成果もあり、タイヤ交換が終わる前に完了した。
コースインした岡本。上位陣では早い時間のピットインだったため、ポジションはいったん11位に下げたが、周回毎に追い上げ、23周目には6位に、25周目には5位に。横転した車両から出たオイルのせいでフラッグが出ていたり、周回遅れを挟むため、ラップは2分17秒~19秒とばらつくが、29周目には4位へと順位を上げる。
途中、直接の目標となる同じBMWの#11車は規定の2回目のピットインを終え、すでに15秒後ろへと迫って来ていた。Faust.RTはこの時点でドライバー交代を残しているため、実質#11の後ろとなるが、レースは何が起こるかわからない。耐久レースではライバルより前にいることは大切だ。岡本は31周目、ST-2クラスの1台を抜き3位とふたたび表彰台圏内に。

スティント終盤、ピットと岡本は無線でタイヤの状況を確認。ドライバー交代と給油だけを予定していた次のピットインではフロントタイヤ2本を替えることになった。
そして34周目に入ってくる岡本、ドライバーチェンジの見せ所。実はレース前の練習では何回やっても目標タイム20秒に惜しくも届かなかった。もちろん1秒、2秒なのだが。本番、見事にこなしてピットタイムは50秒。抜群のピットワークで佐藤を送り出した。
7位でコースに復帰した佐藤はタイヤ交換で生じたオーバーステアに苦しむ。アンダーが出ているのでフロントのみを変えたのだが、結果フロントのグリップが予想以上に上がりオーバーステアに。よかれと判断しても、結果が違うことはレースでよくあること。ピットインする時間はない。あとは走りきってもらうしかない。

荒れはじめた路面状況の中、各チームとも2秒程度ラップが落ちている。タイヤ交換なしで最終スティントに出たトップの#1ペトロナスBMWは、左側前後2本を交換した#28ペトロナスBMWに激しく追い上げられている。それほどタイヤとレースプランは密接にかかわっているのだ。
佐藤は2分18秒台でラップを刻み、38周目6位、40周目に5位に。ここで、ST-2クラスのランエボとバトルになる。抜くことができればFaust.RTとして初の4位だ。ST-2クラスの優勝争いを僅差でしているランエボ。簡単には抜かせてはくれないが、慎重にパッシングポイントを見極めた佐藤は、44周目1コーナーでパス。そのまま最終スティントを走りぬき、総合4位でチェッカーを受けた。

エピローグ

レース後キャプテンの堀
「チームとしては厳しいレースでした。表彰台を狙って思い切った作戦を取るというのは、僕らのスピリットではないですからね。個人的にはカート練習でコンディションは上がっていて、課題としていた追い抜きに関してはスムーズにできたけど、タイムはまだまだですね。とくにオープニングラップ、離されず上位についていきたいですね」

岡本
「チームとしては初の徹底したドライバーチェンジの練習ができて、その成果もあってよかった。でも僕のときは、あわててドリンクホースの吸う側、ボトル側の両方取れたんでドリンクなしでした。17周だからなんとかもったけど、きつかったです」

佐藤
「今回のレースはそれぞれが17周キッチリとレース出来たので、その中で吸収できたものはあるはず。タイヤの表情から見る分析は初めてだったので参考になりました。次に生かしたいですね」

次戦はツインリンクもてぎ。いよいよシリーズ最終戦へと向かう。

Data

SUZUKA Circuit
2011.10.23/Course Length:5,807Km
Weather:Sunny/Course:Dry
Faust Racing BMW Z4M COUPE
Driver堀 主知ロバート/岡本 武之/佐藤 茂
2h05'19.450 51LAP
総合4位/ST-1クラス4位

Line up

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