華麗なる“変身”を遂げる特殊機構に
“変わるものと変わらぬもの”を想う
華麗なる“変身”を遂げる特殊機構に
“変わるものと変わらぬもの”を想う
日常のふとした瞬間に、妻や恋人の“知らない顔”を垣間見た……なんて経験はありませんか? そう、すべてを知っている(と思っている)相手でも、それはもしかしたら “あなた向けの顔”に過ぎないのかもしれません。2009年に発表され話題になった平野啓一郎氏のSF小説『ドーン』に描かれる近未来社会では、人は様々な部分的自分(分人/ディヴ)を使い分けて生きる存在と定義され、時には顔までもディヴことに自由に入れ替えることが可能な時代になっています。ただでさえ移ろいやすいのが人の心ですが、人格も一定でないという設定は、現代社会を生きる我々にとって理解しやすく、納得できる内容かもしれません。
ふたつの顔と機能をもつ時計「 モンブラン メタモルフォシス」は、18Kホワイトゴールド製ティアドロップ型ケース、ムーブメントは「Minerva Caliber 16-29」ベース。約50の部品が同時に動いて時計表示からクロノグラフに“変身”し、567のパーツが連結してひとつのタイムピースを形作る。パワーリザーブ約55時間。世界限定28本。予価¥23,310,000(11月発売予定)。
一方で、1分、1秒の長さは誰にも平等に過ぎゆくもの。着実に刻まれてゆく“時”の中で、泣いたり笑ったりしているのが人間です。腕時計の愛好家に野心家やロマンティストが多いのは、決して手の届かない“時”の不変性が、人間らしい様々な情熱を掻きたてるからではないでしょうか。機械としての精巧さとともに、“時”へ挑み続ける行為そのものに人は魅了されるのです。
変わるものと変わらぬもの、そんな哲学的なテーマに思い至ったのも、すべてはモンブランが生み出した画期的な腕時計を目にしたからこそ。メタモルフォシス、つまり“変身”と名付けられたこの時計は、今年1月にジュネーブで開催された国際高級時計見本市(SIHH)で発表されました。まるで劇場の舞台装置のように、鮮やかにフェイスを変容させる腕時計。その姿に来客は度肝を抜かれました。
もう少し詳しく説明すると、ケース左側面のスライドを動かすことで、12時と6時の位置にあるサブダイヤルが折り畳まれて姿を消し、新たなダイヤルがエレベーターのようにせり上がってくるのです。約15秒かけて行われる“変身”は感動的ですらあり、こればかりは実際に目にしていただくほかありません。リストウォッチからクロノグラフへ、クロノグラフからリストウォッチへ。外見ばかりか、機能すら変容させる驚くべき機構の登場は、時計史に長く語り継がれるべき出来事といえるでしょう。
このコンセプトウォッチを開発したのは、モンブランによって新たな息吹を吹き込まれた2人の若手独立時計技師。設立から150年を超える伝説的マニュファクチュールと、2007年にモンブランが傘下に収めたミネルバ研究所が、新たな才能を支援しようという実験的な試みが合致した結果です。若き2人による挑戦は、したたかで柔軟な人間の在り様を思い出させてくれます。“時”そのものを変えることは不可能でも、情熱をもって挑み続けることで、その意味やカタチは自在に変えることができるのです。
私たちが相手や状況に合わせてディヴを使い分けるのだとしたら、腕時計にだって“ふたつの顔”があっていい。オンとオフ、都市と郊外、本気と遊び……メタモルフォシスを“変身”させる瞬間、あなたの中の“もうひとりの自分”もまた、目を覚ますことになるでしょう。
問い合わせ/TEL.03-5214-4810
¥23,310,000
2010年11月発売予定
Text:Kunihiko Nonaka(OUTSIDERS Inc.)
2010/04/01
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