英国王室御用達として、300年以上の歴史を刻んできたワイン&スピリッツの老舗、ベリー・ブラザーズ&ラッド。古くは、英国に亡命していたナポレオン三世に愛され、現在でも、エリザベス女王やチャールズ皇太子は、このベリー・ブラザーズ&ラッド社(以下BB&R社)のワインを愛飲していることで知られています。また、このBB&R社は、スピリッツ商としても有名で、山吹色のラベルに白い帆船の描かれたシングルモルト「カティ・サーク」は、BB&R社のオリジナルブランドとして世界中で愛されています。
そのBB&R社が、昨年11月、東京丸の内に支社を設立。ワインファンたちにとっては、待望の日本上陸でした。そして、今年、新たにスピリッツ部門においても、日本で販売を手がけることになりました。それを機に、スピリッツ部門のバイヤーであるダグ・マクアイヴァー氏が来日しました。
「日本支社では、カティ・サークや、グレン・ロセスなどの馴染みのブランドとは一線を画した、厳選されたウィスキーのみを手がけていきます」
と、マクアイヴァー氏。日本支社のスピリッツ部門でフラッグシップとなるのは、ブレンデッド・ウィスキーの最高峰とされる、「ブルー・ハンガー・4thリミテッド」。このブルー・ハンガーには、歴史深いBB&Rならではの物語がありました。
「17世紀、BB&R社の顧客の一人に、ウィリアム・ハンガー卿という人がいました。彼は高級なブルーのスーツを身にまとっていたことから、ブルー・ハンガーという愛称で呼ばれていたそうです。そんな紳士の理想とも言える彼をイメージして、1980年代に作られたウィスキーなのです」
そうして生まれたブルー・ハンガーは、しかしながら、ブレンドの元となる原酒がなくなったことから、一時は生産がストップしており、幻のウィスキーとなっていました。
マクアイヴァー氏が、このブルー・ハンガーを復活させたのが6年前。新たに限定発売したところ、熱烈な支持を得たのです。そこで、続く2ndを発表。3rdリリースでは、WWA(ワールドウイスキーアワード)でもベスト スコッチブレンデッド モルトを受賞。まさに、ブレンデッドウィスキーの最高峰に輝くことになりました。
今回の4thリミテッドは、16年から34年までの年度を越えたシングルモルトをブレンドしたことで、更に複雑で深みのある、香り豊かなブレンデッド・ウィスキーに仕上がっています。
「厳選されたカスクから、絶妙なバランスでブレンドしたのが、このブルー・ハンガーです。全てのリリースで、全く味が異なるので、ウィスキーの持つ深みと広がりを堪能することができます。回を追うごとに進化しているブルー・ハンガーを楽しんで欲しいですね」
また、それと同時に販売されるのが「ベリーズ・オウン・セレクション」と呼ばれるシリーズ。このベリーズ・オウン・セレクションは、BB&R社が所有するカスクの中から、厳選されたシングルモルトのみを販売しています。
「ベリーズ・オウン・セレクションは、一つ一つのカスクの個性を活かし、ボトルにしました。量販する商品はどうしても、味が画一的にならざるを得ませんが、このオウン・セレクションでは、それぞれの年次やカスクによって異なる味を楽しむことができるのが大きな魅力です」
今回は、日本でのスピリッツ販売に際し、マクアイヴァー氏自らがおすすめの、五本をご紹介。
Doug McIvor’ Recommend
Berry's Own Selection
Blue Hanger 45.6%
グレンリヴェット、モートラック、グレンエルギという三つの原酒、七つの樽からブレンド。フルーティでフローラルな芳香を楽しみながら、スモーキーな重みもある逸品。
Berry's Own Selection
LINKWOOD 1993 46%
スペイサイド・モルト。ソフトスタイルのウィスキーとして女性にも好まれる。花や草、バラのような芳香が感じられ、まろやかで飲みやすい。華やかさを味わえる一本。
Berry's Own Selection
Glenlivet 1971 46%
スペイサイド・モルト。36年という年月を経たからこその、繊細なスモーキーさと、クセのないクリーミーさの美しいバランスが楽しめて、シェリーバットの甘みや香りも堪能できる。
Berry's Own Selection
Bowmore 1994 46%
アイラ・モルトならではのピート香の中に、スモーキーさを楽しむことができる。りんごのようなフルーティさと、クリーミーなニュアンスが共鳴している複雑な味わいがある
Berry's Own Selection
Bowmore 1994 56.3%
同じく1994年のBowmoreだが、違うカスクから作られた一本。アイラならではのスモーキーな味わいはもちろん、スパイシーさや、深みのある華やかな香りがある。
ベリー・ブラザーズ&ラッド
オフィシャルホームページはコチラ
http://www.bbr.com
Text:Sayako Nagai
Photos:Akihiko Sonoda